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怪壊塵芥  作者: 黒漆
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雨男と蛙

 雨の境目って見たことあるかい? 夏なんかに夕立が来ると雲の動きに合わせて雨の壁が近づいてくるのがたまに見られるだろ。


 雷鳴と一緒に空が微妙に暗くなってさ、音といい見た目といい滝が近づいてくるみたいで迫力あるよな。



 雨というとちょっと有名な話があって、曲をかけると雨が降る歌なんてのもあるよね。


 それと似ているんだけど、俺の幼馴染に有名な雨男がいたんだよ。


 海水浴やバーベキュー、外での予定を立てると必ずと言っていいほど雨が降る。


 あんまり的中率が高いから、外でつるむ時は誘われなくなっちまってさ。屋内で楽しむ分には問題ないんだけどな。


 それでそいつ、引きこもりがちでくすぶっちまって、顔の面皰にきびに暗い性格も伴って尚更相手にされなくなって。


 まあ俺もさ、付き合い長いし仲が悪かったわけじゃないから、久しぶりにそいつの家に遊びに行ってやったんだよ。


 薬でもやってるのか落ち込み方が半端なくて、なにか見てるこっちが辛くなるくらい変わっちまっててね。


 なんとかしなけりゃって、景気づけに外で飯でも食おうぜって連れ出してさ、そいつ乗せて車を走らせたんだ。


 そうするとみるみるうちに空が曇り出して、ああまたかなんて思ったんだ。雨が追いかけてきて、そしたら助手席のそいつが急に暴れ出してさ、やっぱダメだなんて叫んでね。


 それで、ドア開けて飛び降りようとするから、腕掴んで引き戻そうとしたらハンドル切りすぎちまってさ、民家の壁に乗り上げだんだ。


 すげえ衝撃で助手席のそいつ、ベルトつけてなかったから窓突き破ってすっ飛んでさ、家の庭木に引っかかって、肩外れて骨も折れてさ、大怪我したんだけど、俺は意識はっきりしてたから、そん時の事よく覚えてる。


 木の枝に白い蛇が巻きついてて、気絶してんのか動かないそいつのこと睨んでね。そしたらあいつ、痙攣して潰されかけた蛙みたいな悲鳴と一緒に、口からでかい蛙だしたんだ。青い綺麗な蛙だったよ、すぐ逃げちまったけど。


 それで家主に救急車呼んで貰ってあいつ入院してさ。それ以来、雨男が晴れ男に変わったんだ、面皰にきびも消えちまって明るくなってな。


 考えられるのは蛙しかないだろ、だから心当たりがあるか聞いたんだ、そしたらそいつ、子供の頃良く爆竹で蛙殺してたって、それが原因なのかなあ。


 車は壊れるわ、事故は起こすわでいい迷惑だったけど、あいつが明るくなって良かったよ。


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