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怪壊塵芥  作者: 黒漆
28/100

蟻の凝列


 公園のベンチで休みながら、何気に子供の会話に耳を傾けていると、面白い会話が聞こえてきた。


 「あのねこの間、アリのさ」


 「アリって、虫の?」


 「そう、そのアリなんだけど、行列を追いかけたの」


 「何お前、まだそんな幼稚な事してんの」


 「違うんだ、少しね、見たことないアリだったんだもん」


 「見たことないっていっても、アリだろ。そんなに違わないだろ」


 「ううん、紫色のアリで足が多いの。珍しいと思って」


 「へえ、それで」


 「それが一列に綺麗に並んで、あのお菓子屋のおばあちゃん家から伸びてたんだ」


 「あそこならアリがいてもおかしくないじゃん。しょっちゅう店先に菓子屑落ちてたし。それにあのばあちゃん、この間死んじゃっただろ」


 「そうなんだけど、そのアリ、緑とか黄色とかいろんな色の金平糖を運んでたの」


 「なに、あのトゲトゲのやつ?」


 「うん、ついて行ったらね、空き地におばあちゃんがたってて、そこに運んでたんだ」


 「なんだよそれ、どこのばあちゃんだよ」


 「わかんない、あのお店と同じ匂いがしたから、たぶんあのおばあちゃんだよ、腰から下しかなくて、それでね、近づいたらアリと金平糖で出来てたの。ちょっと触れたらくしゃって潰れちゃったから、そしたら凄い声がおばあちゃんの店から聞こえて、アリもね、いなくなっちゃった」


 「ふうん、よくわかんないな」


 「それでね、その後からもたまに見るの、そのアリ」


 「今度見たら教えろよ、俺も見たいから」


 「うんいいよ、私もおばあちゃんができるところが見たいから」


 振り向くと子供たちが公園から駆けてゆく姿が見える。


 ふいに足元が動いている気がして、背中がむず痒くなった。


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