蟻の凝列
公園のベンチで休みながら、何気に子供の会話に耳を傾けていると、面白い会話が聞こえてきた。
「あのねこの間、アリのさ」
「アリって、虫の?」
「そう、そのアリなんだけど、行列を追いかけたの」
「何お前、まだそんな幼稚な事してんの」
「違うんだ、少しね、見たことないアリだったんだもん」
「見たことないっていっても、アリだろ。そんなに違わないだろ」
「ううん、紫色のアリで足が多いの。珍しいと思って」
「へえ、それで」
「それが一列に綺麗に並んで、あのお菓子屋のおばあちゃん家から伸びてたんだ」
「あそこならアリがいてもおかしくないじゃん。しょっちゅう店先に菓子屑落ちてたし。それにあのばあちゃん、この間死んじゃっただろ」
「そうなんだけど、そのアリ、緑とか黄色とかいろんな色の金平糖を運んでたの」
「なに、あのトゲトゲのやつ?」
「うん、ついて行ったらね、空き地におばあちゃんがたってて、そこに運んでたんだ」
「なんだよそれ、どこのばあちゃんだよ」
「わかんない、あのお店と同じ匂いがしたから、たぶんあのおばあちゃんだよ、腰から下しかなくて、それでね、近づいたらアリと金平糖で出来てたの。ちょっと触れたらくしゃって潰れちゃったから、そしたら凄い声がおばあちゃんの店から聞こえて、アリもね、いなくなっちゃった」
「ふうん、よくわかんないな」
「それでね、その後からもたまに見るの、そのアリ」
「今度見たら教えろよ、俺も見たいから」
「うんいいよ、私もおばあちゃんができるところが見たいから」
振り向くと子供たちが公園から駆けてゆく姿が見える。
ふいに足元が動いている気がして、背中がむず痒くなった。




