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怪壊塵芥  作者: 黒漆
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貌剥がし


 はあ、いや確かにあったんですよ。


 その御宅にお邪魔もさせて頂きましたから。


 ええ、伺う予定だったお客様の御宅がわからなかったもので、ご近所の方にお聞きして、いえ、時間も余裕がなかったんですが、その方お茶を一杯飲めば教えてやるなんて仰られるものですから。


 いえ、別段変わったところはなく、いたって気の良い、普通の方でしたよ。和風の特徴のないごく普通の瓦屋根の御宅で。


 変わった所と言えばそうですね、梁に面が並べられていたくらいですか、こう、おかめやひょっとこというんでしょうか、そんな面がずらりと。


 珍しい場所に住んでいらっしゃるなあとは思いましたが、辺りに他に家がありませんでしたからね。けれども、そう言った場所を好む方も世の中、いらっしゃるでしょう。


 人と話すより面と話す方が楽だなんておっしゃいまして、私の事を良い面相をしているなんてお褒め下さって、顔をさっと触れるんです。その方、最近はお客さんが訪れることも少ないから寂しいなんて仰っておられましたよ。


 だから、そんな家はないと言われましても、私はお茶とお菓子をご馳走になりまして。それで、予定が遅れてしまったんです。


 言い訳するなとおっしゃいましても、名字ですか、蓼無さんだったと、え、そんな方はこちらには住んでいらっしゃらない、ええと、あれ、そんな。


 あの時は気にならなかったんですが、そう言われるとその方のお顔も、ペットの犬も、家族集合写真も拝見したのですが、全員の顔が抜け落ちて。あれなぜでしょう、のっぺらぼうで輪郭しか思い出せない。え、顔が青い、表情がなくなって来ていますって、そうですか? 


 自分ではわからないのですが。大丈夫、問題ありませんよ。何かおかしい、そうでしょうか、そうかも知れませんね。


 なんだか、視界がぼやけてしまって、ところであなた、どなたでしょうか、か、か?

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