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怪壊塵芥  作者: 黒漆
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建幽霊


 都内じゃ妙な物件なんて珍しくありませんけどね、幽霊と別に怖いと思ったのはあのマンションだけだったな。


 ご存知だと思いますけど、俺って万年金欠だったから、安い物件ばかりを渡り歩いてたんです。でもね、俺が話したいのはそんな場所じゃなくて、友人に紹介された物件なんですよ。


 これがおかしいのは部屋じゃなくて建物自体なんです。なんでもね、古いマンションを一度改築したらしくて、四階までが古い土台を補強した建物、上二階が増築したものらしんですよ。


 まあ、全面建て直しを不動産主が渋ったってだけなんでしょうけど、それで、深夜エレベータを使うと、四階と五階の間に止まるなんて噂が立ってましてね。そんなの馬鹿らしいでしょ、俺だってそれなりに経験してますから、じゃあ行って確かめてやるよってなもんで、五階の端にある友人の家に押しかけたんです。


 それで深夜まで適当に時間をつぶしましてまず一階まで降りて、そこからエレベータを使って五階まで登ったんですけど、何も起きない。


 やっぱうわさじゃないかって、降りたんですけど、降りてみたら屋上なんですよね。


 あれって、振り返ると何もない、ドアには鍵がかけてあるし非常階段にもフェンスの鍵がついていてどうにもならなくて、妙に古臭いフェンスにしがみついて騒いだりもしたんですけど、誰も気がつかない。


 なんて言うんでしょ、深夜だから人気がないのは当たり前なんですけどね。音の気配がまるで無くなったというか、急に感覚が遠のいた気がしたんです。


 怖くなってどうしようかとぐるっと廻ってみると、フェンスの角が網目にほつれがあったんですけど、丁度ペンチで切ったような綺麗な切り口で、それで手すりを渡れば外の非常階段にたどり着けそうなんですよ。


 だから網を潜って手摺に登ろうとしたら首の後ろを掴まれて引っ張られまして、気がついたら四階にいました。


 友人が帰ってこないから心配して階段で迎えに行ったら廊下の手摺、上に登ろうとしてたって、そんな話なんですけど。


 蜃気楼みたいなもんなのかな、それとも建物の幽霊なんているんですかね、いたら怖いと思いません? まあ俺なんかしばらく、二階から高い場所に登れませんでしたけどね。

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