埋まったパズル
「おはよう、…ちゃん」
誰かが、私の肩を叩きながら誰かのことを呼ぶ。
多分、私のことなのだろう。
けれど、その声に応える元気すら、私にはなかった。
「ぼーっとしてる?どうかしたの?」
そう言って心配してくれている彼女に状況を伝えられないことを悔やみながらも、どうにか笑顔を作ろうとする。
私が笑顔を作れたころには、彼女はもう私の前からいなくなっていた。
彼女の名前って、何だっけ。
そう思って、気づいてしまう。
私は、余程あの子の影響力が強かったことを。
私は今まで、喧嘩をしても、何があっても平気だった。
けれどそれは、仲直りができることを信じていたから。
また話せると、思っていたから。
その自信が、今までの私がここまで気分が下がることがなかった理由。
決して、誰も壊さない、壊せなかったはずの聖域が、崩れた。
崩れた聖域の欠片と共に、私は悲しんだ。
涙の池は広がり、感情は雪のように心の中に積もる。
けれど、現実は残酷なもので。
ひとがひとり死んだくらいじゃ、誰も悲しんではくれない。
こんなに悲しんでて、全く何も手につかないのに。
そんな状態でも「学校に行け」って言う。
誰かが死んだときは、誰かが生まれるとき。
雨は、故人からの最後の贈り物。
そんな、綺麗事を繰り返す大人たち。
私はどうしても、そうだとは思えなかった。
またいつか、
あの子と、話せますように。




