新人ちゃん
営業中。
ふと目に付いたショーケースの和人形。
どうしてか途轍もなく惹かれた。
可愛らしい、綺麗な彼女。
「これください」
その帰りに走って買いに行き、家に持ち帰った。
「ふふっ」
人形を飾るための部屋へと入り。
「可愛い♪」
その一体を飾った。
「あんた、また増やしたの?」
とある友人が遊びに来た。
部屋を埋め尽くす人形たちに。
その友人は呆れていた。
「一目ぼれ♪」
そう言って新しい人形の頭を撫でた。
「……まあ、大切にしてあげなよ」
「勿論」
彼女は真剣なまなざしをした。
友人は思う。
——ついてきちゃったのかな?
人形の空間を見る彼女。
その和気あいあいとした空気感。
——ま、いっか。
友人は彼女と共にリビングに座った。
楽し気にテレビを見る。
……——隣の部屋では。
新人を迎える和やかな雰囲気が流れていた。