第9話 新たな方位磁針
さとるとだいちはとりあえず方位磁針がないと北を目指せないので、一番近くの店で手に入れようとした。
2人は街角にあった「ジョーウズ」という少し古そうな店に入った。中には2人お客さんが他にもいた。二人ともちっちゃ女の子だ。端っこで座って本を読んでいる。ここの店の白髪のおじさんもさとる達を警戒してるようだ。
「何かね、帽子とマントはどうした。」
「すみません、迷い込んだ者です。マントと帽子はありません。」
おじさんは少し二人を睨みつけ、回る椅子に座ってくるっと後ろを向いた。
「欲しいのは・・・方位磁針じゃな。」
二人ははっと息を呑み、びっくりした。まさか言わずとも分かってくれるなんて。
「300ウォルじゃが、お金は持ってないな。それじゃ、そのキーチェーンと交換してくれ。」
そう言っておじさんはさとるのリュックについていた赤いりんごのキーチェーンを指差した。
二人はそこまで先読みしてたとは思わず、もう心を全て読まれてるんじゃないかと思った。
さとるはリュックからりんごのキーチェーンを外し、そのキーチェーンを眺めた。そのキーチェーンは小さい頃に
おじいちゃんが作ってくれた物だった。さとるはキーチェーンを握り、決めた。
「ごめんなさい、これは思い出の物なので交換はできません。」
おじさんはこれは先読みできなかったのか一回目を丸くした。そして微笑み、棚の中をゴソゴソした後、棚の中から小さな方位磁針を取り出した。そしてさとるにゆっくりと近づき、それをさとるの手の中に落とした。
「これはもう使わないから。あげようじゃないか。」
「ありがとうございます。大切に使います!」
そう言ってさとるは方位磁針を大事にポケットにしまった。二人は店を出て、方位磁針を取り出し、北を確認し、
霧の中へ進んで行った。
一方、かけるは赤い砂で山を作って遊んでいたが、ある異変に気づいた。なんだか砂が自分で動いているように
感じ、気のせいだろうと放っておいていたが、ついにはっきりと動いていることがわかって、少しづつ座ったまま
後ずさりしていた。顔をみると、明らかに怯えていた。
その赤い砂はみるみるうちに何かの足を4つ作った。
続いて尻尾、お腹、首まで作って、最後に顔を作った。それはどこかでみたことのある物だった。
(はっ!これは絵画クラスでゆうじが描いた・・・赤い虎だ!)
そう気づいた時にはもう前足が動いて、歩き始めた。かけるに向かって。
かけるは怯えて動くことすらもうできなかった。