第2話 冒険の始まりの予感
もう何日ゆうじを追いかけ続けただろうか。毎回同じ路地でゆうじを見失ってしまう。
もうそろそろみんなも飽きてきた所だろう。
この日もあまりやる気を出せずにぼーっとゆうじの歩く方を見ていた。
ゆうじもさとるたちが追いかけてこなくなったから、警戒心がなくなってきたのか、走らずに帰るようになった。
そんなある日、さとるたちはゆうじが絵画クラスから出て来る前に路地の反対側でベンチに座って待ち伏せしていた。結局何も分からないだろうと思っていたがこの日、思いもしないことが起きた。
その事に気づいたのは、だいちだった。
「さ、さとる!見て、ゆうじが!」
その言葉にみんな眠りから起きたように目を丸くした。ついにゆうじが黒い穴に入って行くところを見たのだ。
その事実に冒険好きのさとるが目を輝かせた。
「は、早く僕たちも行こうよ!」
そう言ってさとるが穴に向かって走って、飛び込んだ。
「待って〜行くから〜!」
かけるも恐る恐る穴を覗き込んで、目を瞑りながらも飛び込んだ。だいちも続いた。
3人は風に引き込まれるようにして、穴の奥深くまで落ち続けた。
「うわ〜!」
先に飛び込んださとるが叫んだ。かけるたちも下に降りてきた。
「うわっ死んじゃう!」
かけるが叫んだ時、そのまま地面に叩きつけられる・・・と思ったが、最後の方に体が浮いて、ゆっくりと降りてきたのだ。
「どうなってるんだろう。もう魔法の世界に入っちゃったの!?」
だいちがワクワクしていた。地面に足をつけた時には、浮いている感じは無くなった。100mほど前にほんのりと光を出している扉がうっすらと見えた。
「見て!あそこに扉があるよ。早く行こう、ここ真っ暗で何にも見えないからさ。」
3人はよく見えない床に警戒しながら扉に向かって走っていった。
「ゆうじ、今までこんな所にいたんだ。すごいね。」
さとるが走りながら言った。声が響き渡っていた。扉につくと、さとるが扉を開けようとしていた。
大きな鉄の取手に手をかけて、一つ深呼吸をして、みんないることを確認した。
「行くよ、いざ冒険へ!」
さとるはそう言うと、力を入れて扉を開けた。そこは、確実に現実ではなかった。
空飛ぶほうきで遊ぶ子もいれば、杖を一振りして家を建てている人もいる。そこはまるで魔法の世界だった。