プロローグ
容赦なく照りつける夏の太陽。目の前にはこの世の闇の断片すら知らない純粋無垢な目をした子供がいた。
この子は今後いろんな経験をするのだ。楽しいことも、
嬉しいことも、辛いことも、悲しいことも...。
そっと彼に近寄って優しく肩を2回叩く。すると彼は
砂遊びをしている手を止め、きょとんとした顔でこちら
を見る。そしてその顔を見て僕の腑は煮え繰り返っていた。息が苦しくなるほどの怒りは体を支配して、
気付くと足元にあった拳大の岩を拾っていた。
"もう止まれない。"
僕は岩を持った手を大きく振りかぶり、そいつの頭を
かち割った。
そんな夢をここ1週間くらい見続けている。そのせいで彼は寝不足気味だ。しかし学校には行かなければならないので大きく伸びをして、カーテンを開け、日光を浴びる。朝のルーティーンだ。
数日徹夜したような気分だったが日光を浴びて多少楽になった、気がする。
まずは着替えようかとした時、
「圭!起きなさい!!花ちゃん来てるわよ!!!」
体をビクッとさせて、もうそんな時間なのかと思う。
着替えを手短に済ませてバッグを片手に部屋を出る。
部屋を出て右に曲がり階段を降りようとした時、階段がいつもと大きく違うことに気付いた。階段の1番上の段がないのだ。彼は目を擦り、もう一度見ると、今度はいつもの階段だった。
「疲れてるな...。」
そう思って再度階段に異常がないことを確認して一歩踏み出すとあったはずの足場がなくなっており、なす術もなく彼の体は階段を転がり落ちた。
「だい....ぶ!?.....け...い」
頭がぼーっとしてよく聞こえない。頭を強く打ったの
か意識を失うのにそう時間は掛からなかった。