9/10
009 社長室にて
野中係長が社長室のドアをノックする。
ドアの向こうから声がした。
「入れ。」
「失礼します、業務課の野中ほか一名入ります。」
ドアが開いた向こうに社長がいた。
総合職とそれ以外の職種の間に強い区分けをした前社長は昨年退職し、新しい社長になっていた。
「そちらに座りなさい。」
指示されたソファに二人して座った。
「お呼びとのことで伺いました。何かございましたでしょうか。」
野中係長が慎重に話し始める。
「うん、勢いのある若手がいるって聞いてね、一度会ってみたいと思ったんだよ。」
社長と野中係長がほぼ同時に俺を見た。
「初めまして、業務課の・・・」
「君か、エクセルマスターってのは。」
あっ、社長俺のことを知ってるんだと少し誇らしげな気分になった、その直後に凍り付くとも知らず。
「君の仕事は何かね。」
一瞬何を言われたかわからず、野中係長の方を見てしまった。
野中係長と目が合い、そして野中係長が社長を見て言った。
「彼は総合職です。」
社長から手厳しいい答えが返ってきた。
「君に聞いているんじゃない。」