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005 異動してから1年がたった
異動してから一年が経過した。
自分でも驚くぐらい仕事をこなせるようになった。
ちなみに、噂にたがわず、野中主任は厳しかった。
自分にも、そして他人にも。
いままで経験したことのない厳しい日々を過ごすうち、疑問が大きくなってきていた。
この人の師匠はさぞ厳しいひとなんだろうな。
うちのなかで厳しいことで有名な部課長クラスって誰がいただろう。
ある日の午後は珍しく余裕があり、少し気が抜けていたのだろう。
思わず台詞が口をついてでた。
「野中主任が新入社員だったとき、どなたについていたのですか?」
ん?という顔でこちらを見た野中主任が少し笑いながら言った。
「大熊係長だよ。」
あんな優しそうな人の弟子が、こんなに厳しいひとになるのか?
いやいや、これは野中主任のパーソナリティーの比重が大きいのでは・・・。
たぶん俺は不思議そうな顔をしていたのだろうと思う。
「解せぬ、という顔をしているな。」
野中主任はクスと笑いながら言った。
「秋元君ね、大熊係長とまだあまり交流がないからわからないかもしれないけど。
「あの人の別名はね・・・、マクロレンジャーなんだよ。」