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002 異動初日の朝
異動初日、勢いよく業務課のドアを開けた。
だれもいなかった。
いまは朝の7時30分・・・。
ひたすら資料を吐き出す複合機、紙やトナー切れのアラーム音、そして先輩の気合いを入れる声。
そんな営業部で当たり前だった景色がない。
部屋を間違ったか、いやいや先週末挨拶に来てるからそんなはずは、今日は休みだったか。
そんなとりとめもないことを、つらつらと考えていると、後ろに人の気配がした。
室温が3度上がった気がした。
思わず振り向くと、そこにはハリウッド映画の戦争映画から出てきたような中年男性がいた。
身長は170cm強、体重は90kgぐらいか。
髪は極限まで短くした角刈り。
最先任上級曹長という役職がピタッとあてはまる、そんな風貌。
「おっ、新人さんだね。まあ入って入って。」