010 暴風雨来たりなば
社長から厳しいお叱りを受けた。
結論から言うと、エクセルで出来る出来ないでシステムの有用性を判断するなということ。
現在エクセルでできていることが、エクセル開発者の自己満足になっていないか、後任が継承できるようになっているか、エクセルでやるべきではないことをやっていないか。
ペーパーレスが叫ばれる昨今だが、トータルで見ると紙で運用したほうがリソースを抑えられる業務もあるという見地を持っているかなどなど。
エクセルが歴史上極めて便利なソフトウェアであり、表計算というジャンルを超え、日常業務のありとあらゆることに利用できるようになってしまった経緯を、歴史を紐解いて説明を受けた、社長から。
まさか、社長がエクセルマスターだとは思わなかった。
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その日の夕方、課長以上の役職者が全員社長に呼び出されて緊急の会議が開かれた。
役職者が実務をどれぐらい把握しているかについて、社長が各人に報告を求めた。
事前に議題を知らされず、ほぼ何も資料を持たずに会議室にきた役職者たちは、社長から厳しい追及を受けて膝が震えていた。
社長の考えでは、役職者は以下のことを何も見ないでホワイトボードに書ける必要があるとのこと。
・直属部下の名前、入社何年か、職種。
・誰が何をやっているか
・他部署とのデータのやり取りがどのように行われているか
「プロの世界は洗練された暗記力が求められる。」
「自分の手足となるべき部下とその振る舞いを理解せずして、何が出来るのか。」
業務改善プロジェクトは社長の一声で中止され、その代わりに総合職再教育プロジェクトが立ち上げられた。
その総合職再教育プロジェクトの取り組み第一弾が発表された。
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俺の関連会社出向が決まった。