閑話 心晴の恋
私は高見 心晴。高校二年生。
私は今、恋をしている。この思いは7年間ほど続いている。相手は川神 刀夜、私の幼馴染でさっき告白?をしちゃっていたりする。
刀夜に恋をしたのは小学4年生の夏、花火大会に一緒に行った時。今でも忘れずに鮮明に覚えている。当時の私は刀夜を友達だとしか思っていなかった。でもあの時…あの花火大会で私は初恋を体験したのだった。
~7年前~
その日は過去に類を見ないほど人混みで溢れていた。
「心晴。手、離すなよ。」
そんな中、私と刀夜の二人て来ていた。刀夜はやっぱり優しくてはぐれないように手をつないでくれた。
「うん!離れないようにしないとね。」
二人で射的や金魚すくい、焼きそばを食べたりした。次にどこに行こうか話そうとしたその時、
「なぁ心晴、次どこ行く?っておい!」
「えっ、ちょっ、とーや!」
この時、私は不覚にも刀夜の手を離してしまった。その後は言うまでもなく迷子になった。大人の波にのまれいつの間にか見覚えの無いところについていた。
勿論、当事はまだ幼かったので
「うえ~ん。とーやぁ、どこぉ?」
私は一人で泣いていた。今思うとすごい恥ずかしい…。そんな時、
「お~い!心晴!」
「と、とーや!!」
「やっと見つけた…。大変だったんだぞ。ここまで来るのにどれだけ時間かかったか。」
今思っても刀夜はほんと優しいと思う。当たり前かのように私を無数の人の中から探しだしてくれる。
「ごめん…。でも、ありがとう。見つけてくれて。」
「悪かった!僕がもっとしっかり心晴の手を握っていれば…。そしたらこんな想いさせずに済んだはずなのに…。ごめん…。」
「ううん、そんなことな…あれ?草履の紐がほどけてる…」
「うわ、マジか…これじゃ、歩けないな…。」
「私のことはいいから先まわってて…って何してるの?」
「何って僕の着物の帯取ってるだけだけど…っとほどけた方の足出して。」
「…はい。」
「ありがとう。えっとこれをこうして…こうやって…よしできた!即興草履紐!!」
「……どうして?こんなこと…」
「そりゃ、心晴と一緒にまわるために決まってるじゃん。」
「……うん、ありがとう。嬉しい!」
「よし、今度は絶対に離したりなんかしないから!心晴を絶対に離さない!だから、安心してついてきて!」
「う…うん!」
きっと私はこの言葉に心がやられてしまったんだろう。
「よし、じゃあ行くか。」
「うん!」
と、歩き出した時
「痛っ!」
「どうしたんだ?」
「さっきので反対の足、くじいたみたい。」
不覚にも足を挫いてしまった。
「こればっかりはしょうがないなぁ。そうだ心晴、背中乗って?おぶってくから。」
「で、でも恥ずかしいよぉ…。」
「じゃあ、できるだけ人の少ないとこから行くから。それじゃだめ?」
「それだと怖いよぉ…。」
「大丈夫。僕が一緒にいるから。」
「う、うん。分かった…。」
そして私達は人の全く通らない山道を登った。暗くて怖いはずなのに刀夜のお陰ですごく落ち着いた。むしろ、楽しかった。
この後、山頂の神社で花火を一緒に見た。
今思うと刀夜は優しすぎると思う。少しケガしただけなのにこんなに親身になってくれて…。しかも、さも当たり前かのようにやってしまう。私はきっとそんな刀優しい所に惹かれてしまったのだ。
「もう告白?もしたんだ。積極的に行くよ!」
と、一人で決心をした。