3話 テスト勉強
それから、時は流れあっという間に流れ、期末テストの時期になってしまった…。
まったく、なんでテストなんてもんがあるのやら…。
そんなことを一人、朝から考えていると、
「よー刀夜。どした?そんないかにも考えてるって顔して。」
と、和也からそんなことを言われた。
「ん?ああ、おはよう和也。実はな、何でテストがあるのかを考えてたんだが…。」
「それ、お前が言うかよ。」
「と、言いますと?」
「だってお前、不動の学年一位、川神 刀夜だろ。そんな奴がテストが何故あるのかとか普通、考えるか?」
「いやだって、勉強嫌いだし。どうせだったらない方がいいかな、と。」
「なるほど。お前は勉強嫌いだったんだな。」
「何か悪いか?」
ちょっとイラっとしたので不満そうに言ってやった
「いや、お前も一般的な高校生なんだなってちょっと安心した。」
「そうかよ。」
「てか、明日からテスト始まるからな。今回は頑張らないとな。」
「おう。それが終わったら冬休みと修学旅行だ!」
うちの学園は修学旅行は冬休み中にある。豪華客船で日本一週旅行をする。一人一部屋付き、費用は全て負担、旅行中は何ををしてても良いという掟付き。学園曰く「来年からは受験だから今のうちに羽休めしとかないと」ということらしい。まぁ、ここでリア充が大量発生したりする。
「待ってろよ。ビバ青春ライフ!!!」
「うるさいって和也。」
そんな他愛ない話で朝から周りの注目を無駄に浴びてしまった。主に和也のせいで…。
放課後
「とーや、この後私の家来て一緒に勉強しない?」
と、帰りのホームルームが終わって直ぐに心晴が話しかけてきた。
「ん?別にいいけど…。今回ヤバイのか?」
「うん。結構ヤバイかも。でも、刀夜が居れば百人力だよ!」
僕は某猫型の機械ではないのだが…。
「お邪魔しま~す。」
「あら、いらっしゃい刀夜くん。久しぶり。ずいぶんと大きくなったね。」
心晴のお母さんと会うのは久しぶりだ。にしても、全然変わってないなぁ。
「お久しぶりです。お母さん。」
「あらまぁ、お義母さんだなんて…。」
「ちょ、刀夜!何言ってるの!」
それから心晴のお母さんより許可を貰い、心晴の部屋で一緒に勉強する事になった。
「お邪魔します。」
「どーぞどーぞ。」
久しぶりに入ったけどやっぱザ・女子の部屋だよなぁ。ピンクや赤等の暖色が多い。
「じゃあ、勉強しよっか。」
「そうだな。」
それから勉強会が始まった。うん、始まったのは良いんだが…勉強するにはちょっと近くないか?なんで僕の隣で勉強してるんだ?机は四角形なのに。
「とーや。ここ分かんない教えて?」
「あ、ああ。それはいいが、これじゃ僕が勉強できないんだけど…。」
「良いじゃん。こうしてると何か安心するの!」
「お、おう。で、ここは────」
それから、勉強会は進んだ。と、思いきや開始30分後、寝落ちした。心晴が。しかも僕が膝枕した状態で。最初は余り気にならなかった。だが、何分か経った後、足が痺れて…駄目だ、限界だ。心晴には悪いが起こすという判断に至った。
「心晴。起きろー。そろそろ足が限界だ。」
「ふぇ?」
なんだ?寝ぼけてるのか?
「あれ?私寝てて…。はっ!?勉強しないと!」
「やっと起きたか。足が痺れてこっちは大変だったんだぞ。」
僕が立ち上がって足を伸ばしていると、こんなことを言ってきた。
「ごめんごめん。私、寝てる間、寝言とか言ってなかったよね?」
「いや、言ってたぞ。『刀夜くん、大好き~。』とかなんとか。」
「え?ほんと?」
「うん。ほんと。」
「嘘だよね?」
「それはこっちのセリフなんだが…嘘だよな?」
「質問を質問でかえさないでよぉ。」
「で、どうなんだ?」
「気になる?」
「気になる。」
いや、言いたくないなら良いんだけどと言おうとしたら心晴に先を越された。
「答えは…恥ずかしいけど…これ!」
と、わけの分からないことを言って、僕に近づいて……
「…」
「…」
二人の間に流れる沈黙。この間に何があったのか考えて見てほしい。ってそんなの決まっている。そんなの『キス』以外あり得ないだろ…。そう、事を明白に説明すると、キスされました。しかもファーストを。
「キス…しちゃった…。でも、これで私の気持ち、分かってくれたかな?」
頬をリンゴのように真っ赤にしてこう聞いてきた。
「お、おう…。…ってちょっと待って!これ、僕のファーストなんだけど?」
「そんなの私もだよ。」
心が落ち着かない。なんだこれは?ってかめっちゃ柔らかかった。キスってこういうものなのか?
頭がグルグル周り心臓もバクバクとうるさい。
「…」
「…」
気まずい…この空気。
「…そろそろ帰るわ。」
「ちょ、答えきかせてよ!」
「ごめん。」
「えっ!?」
「気持ちが落ち着いてからじゃ駄目かな?」
「うん。えへへ、実は私もさっきから落ち着かなくて…じゃあどうするか決まったら教えて!」
「うん。ごめんな。」
と、言い頭を撫でた。
正直僕は心晴をそういった対象で見たことは無かった。だから答えは出ている。『これから、心晴を異性として見てから決めても良いか?』と、僕はもう決まっていた。だが、それをここで言ってしまうと、心晴が壊れる(物理的に)と、思ったので言うのは止めた。僕が怖いのも一理ある。
「じゃあ日も暮れるし、そろそろ帰るね。」
「う、うん。ごめん、私の所為で勉強出来なくて。」
「良いよ。それより、心晴こそ大丈夫か?明日のテスト。」
「大丈夫!」
「そっか、じゃあまた明日な。」
「うん。」
そして僕は心晴のお母さんに挨拶をし、高見家を後にした。
家に帰る途中、
「僕ってほんと、ヘタレだな。」
と、ぼやきながら家に帰りテスト勉強に勤しんだ。