9話 まさか…!?
冬休みも終わったし今日から出校日かぁなどと思いながら起きる朝はどれほど憂鬱なことか。
だるい。
だるすぎる。
行きたくない!ついでに働きたくないでござる!
「はぁ、行くか。って誰も居ないし…。」
リビングに降りてテーブルを見ると書き置きに「ちゃんと学園行くんだよ!」と書いてあった。
「行ってきます。」
一人は慣れてるからいいけど家で返事がないのはキツイものだ。
一人だと周りのことがよく見える。改めて見ると通学路にはうちの高校の生徒が結構いることを知った。
後少しで学園というところで…
「おい、川神。」
「ん?」
ああ、進藤か。新学期早々こいつと会うとはついてない…。
「ちょっとこっち来い。」
「分かった。」
怖っ!視線怖っ!こいつってこんなに目、鋭かったか?
といって連れてこられたのは芝生で覆われている学園の端のスペースだった。車の通りは多いが人の通りは少ない。
「なぁ川神。お前高見と高宮と矢坂に告られたらしいじゃないか。」
「うん。されたけど…。それが?」
「『それが?』だと…。この前言ったよなぁ。二度と女に近づくなって。」
うわ、横暴だ。
嫌だなぁ。こういう奴。何でこういう奴は自分が中心で回っていると思っているんだろう。
「で、それだけ?それだけだったら僕はもう行くけど。」
早く教室行って寝たい。
「『それだけ?』じゃねぇよ。」
とボソッと言ったので僕には聞こえなかった。
「ん?何か言ったか?」
「チッ!やれ。お前ら。」
「「おう!」」
へ?は?え?
この時は理解が追いつかなかった。
「え、えーっと…何で今回は皆さんナイフを持ってるんですか?」
名前も知らない学園の奴らが僕に刃物を向けている。流石に困惑を隠せなかった。
「それはなぁお前を殺すためだよ。ここにいる奴らは全員お前に恨みを持っている。だからここまで動く。」
そこにいる人は皆敵意むき出し。親のかたきのような表情をしていた。検討はつかないが…
「でもそれだと全員犯罪者になるよ?」
正直負ける気は全くしなかったが脅しをかけた。
「ああ。それは俺が証拠隠滅するから思う存分やれって言ってある。」
この顔、絶対にやらないな…。と思う程彼の顔は卑しかった。
「やれ。」
「うわっと!」
くそっ。コイツら本気だ。ひっきりなしに襲ってくる刃物。反撃の隙がない。
「危なっ!」
避けるので精一杯だなぁ。
「ふっ。ほっ。」
うん。だいぶ余裕が出来て来た。そろそろいけるか?いや、油断は駄目だ。相手の体力が切れるのを待ってから…
気づけば大体の奴が体力切れをしかけていた。
これならいけるのでは?
…と油断したのがいけなかった。
グサッという音と共に僕の背中に異物が入った感じがした。
「刺さ…って…る?」
だんだん思う様に体が動かなくなってくる。
「…ク…ク…クク!…ククク!やったぞ!遂に川神をこの手でやったぞ!!」
完全に油断してた。自分に「進藤は自分の手を犯罪に染めない」ってレッテルを張ってた。
くそっ!この前ちょうど愛佳から「油断大敵」って教わったばっかなのに活かせてねぇじゃねぇか!!!くそっ!くそっ!!
幾ら体を鍛えているとはいえ刃物が刺されば別だ。もう全く体が動かなくなって地面に倒れた。
「な…何をす…るん…だ。しん…ど…う。」
声が出ない。力が入らない。
「お前はしぶといからな。しっかり死ぬように運んでるんだよ。」
確かに死ぬまではいかないだろう。
「じゃあな、川神。来世がいいといいな。ククク。ハハハハハハッ!!」
学園内から僕を投げた?
目の前には道路。勿論浮いている為避けられる訳もなく…
ゴン!
運が悪くトラックに衝突。
そこで僕の意識は途絶え…
……
………
…………
……………
………………
…………………てなかった。
ってここはどこだ?
なんだ?この空間は…まるで宇宙のような…。
てか傷が塞がってる!?
ああ、やっぱり死んだのか…
「お~い。聞こえとるか?」
「は!?」
「おっ、やっと気づいたか。」
そこには中に浮いた神々しい光が出ているおじいさんがいた。
「あの、失礼ですがあなたは?」
「わしはここの創造神兼最高神のカタビスじゃ。」
ここってこの宇宙みたいな?何にもないけど創造神?わからん?
って神様!?