表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/43

第四話

 仕事を終わらせ(一時間をはるかに超える作業量だった)、教室で短く浅い眠りにつく。

こうしてみると、僕がボッチのようだが、僕にも話し相手くらいはいる。

 例えば響は同じクラスだ。たまに話しかけてくれるし、授業変更、移動教室の時は教えてくれる。

 それに、春や日向も同じクラスだ。しかし春は終始女子に囲まれているので、僕に話しかける事はない。日向に関しては、僕と同じように基本的に読書をしている上に、元から口数が少ないので話す事はない。

 つまり教室で僕に話しかけてくれるのは響だけとなる。いや寂しくなんかないんだからね?全然。

 いや、クラスは違うけど、話しかけてくるやつならもう一人いるな。作品の都合上登場は少し遅くなるらしいが。

「おい、いつまで寝てる。次移動教室だって言っただろ」

 もう3限も終わっていたようで、響に叩き起こされた。4限は確か美術だったな。美術は好きだ。時間を忘れられるほど没頭出来ることがあるからな。

 僕は単純作業や絵を描くのは割と好きな方だ。

 小説を書くのは嫌いだがな。何故小説は嫌いなのかはまた別の話で。


 部活の時間になり、僕は部室に向かう。2年校舎からは比較的近い位置にある。

 扉を開こうとすると、鍵がかかっていた。今日は一番乗りのようだ。

 仕方なく少し遠い職員室に行き、鍵を手に入れる。

 再び部室前に行くと、響の彼女ーー確か橘翡翠とか言ったっけなーーが一人ぽつんと立っていた。

 言葉を交わすこともなく、僕は扉の鍵穴に鍵を差し込み、開く。

 目線を交わすこともなく、橘は部室に入って来た。

 そのまま二人とも定位置につき、文化祭の準備を始める。

 20分ほど作業をしていて、僕はある事に気がついた。

「なんで他に誰も来てないんだ?」

「導先輩は家の用事で、(ゆかり)は風邪で学校自体を休んでます」

 一瞬、縁とは誰だと思ったが、すぐに西園寺の事だと分かった。西園寺縁(さいおんじゆかり)。なんとも金持ちそうな名前である。

「春は生徒会だとして、日向はなんだろうな。本屋にでも行ってるのかもしれない。うちの姉は知らん」

「やっぱりこの部活、ちょっとおかしいですよね」

「何がだ?」

 いや、本当は分かっているけれど。

「いや、何がおかしいとか具体的な事は分からないんですけど、どこかズレてるなって思って」

 予想以上に回答者が理解していなかった。

 しかしながら僕はそれを知っている。伝えるなら早めに伝えておいた方がいいだろうと思い、ドアを開けてその辺にほってあった鍵を手に取った。

「どこ行くんですか?」

「隣の部屋」

 隣の部屋ーー第四多目的室の隣。すなわち、第三多目的室である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ