第三十九話
俺は絶叫系が苦手だ。コーヒーカップならギリギリ大丈夫だが、しかしそれ以上となると殺人マシーンと変わらないと思っている。
修学旅行で体験したマリンスポーツで乗ったバナナボードなどは、まあ大丈夫だった。のだが。
「やべぇ……吐きそ……」
今現在、海に汚物をリバースしかけていた。
「うっぷ……気持ちわり……」
「先輩、大丈夫ですか?」
「大丈夫に見えるか?」
なんとか堪えた吐き気は、陸に上がってからもしばらく続いていた。
翡翠は俺の背中を必死に刺さっている。
フリルの水着から胸が見えかけていた。見えたら一瞬で復活するんだけどなぁ……
「なら見ます?」
「声漏れてた!?」
朗報:17歳童貞、彼女が胸を見せてくれ……
「はいそこ、いちゃつかない」
悲報:15歳処女(推定)、嫉妬する。
いや、流石に胸を見せる云々は断った。こんな公共の場でそんなことしたら捕まっちゃうかもしれないだろ?ナンパクソ野郎とかに。俺勝てる自信ないよ?黒服さんいるから大丈夫だと思うけど。
見るならホテルでじっくり……ぐへへ。
おっと、そろそろ着替えなきゃな。ホテルの夕食の時間に遅れちゃう。
「いやー豪華ですねー」
少しお高めのホテルに緊張した様子の翡翠。
「そう?これくらい普通じゃない?
寧ろ普段よりランクを落としたくらいだと言わんばかりの縁。
「ホテルとか初めて来たな……」
家がそこまで裕福じゃないのでホテルが初めてのわい。
黒服さんは相変わらず無口……と思いきや手続きをしてくれていたのだ。
「あ、先輩、これ鍵です」
縁は黒服さんから二本の鍵を預かり、そのうち一本を俺に渡した。
「じゃあ翡翠、また後でね」
部屋の前まで行くと、縁はそう言った。
え?これって縁と翡翠、俺と黒服さんで二部屋じゃないの?
「私の護衛が私を守れる位置にいなくてどうするの?」
そういうと足早に部屋に入っていった。
つまり、俺と翡翠は一つ屋根の下、もとい同じ部屋で一晩過ごすの?
ヤベェよ。避妊具持ってねぇよ(心配するところが違うぞ、俺)




