第三十四話
早見家に、こんな確執が生まれたのはいつの事なのだろうか。
きっと、初めからこうだったというほかないのだろう。
その問題を解決出来るのは、誰なのだろう。
きっと、初めからそんなものは存在しない。
到底無事とは言えない奴が一人いるが文化祭は無事に終わり、夏休みに入った。
蝉がジリジリと鳴く日が昇り始めた時間に、俺は麦わら帽子を被って熱せられたアスファルトの上を歩いていた。
夏休み。学生にとっては長い休みで遊びまくれるくらいの感覚だろう。しかし、俺からすれば特別な意味を持つ。
毎年7月29日にはある場所へ向かうのだ。暑さは感じるが、苦ではない。
ピカピカと磨かれた石が、いくつも並んでいる。ここは墓。俺の親友の。
その墓には、見たくもない文字が刻まれている。いつもは手を合わせて後味悪く去って行くのだが、今日だけは何故か足が動かなかった。
事故死だった。3年前の明日、基山火波は、トラックに轢かれた。俺をかばって。
つくづく自分が嫌になる。なんで、また。また同じ過ちを犯した。俺は、俺は……!
目深に被った麦わら帽が、俺の目元を隠していたからだろうか、自然、泣き出してしまった。
「男の子が人前で泣いちゃうのは、感心しないなぁ」
驚き、咄嗟に声の主をみる。
「どうしたの?お姉さんに話してごらん?」
綺麗な黒髪に溶け込んだ青が、太陽で輝いている。
眼鏡の奥の瞳が、不敵にギラついていた。
「私は水上瑞葉。これでも一応カウンセラーをやってるんだ」
「はぁ」
長い髪が風に揺らされ、さやさやと音を立てる。
「まぁ、あの様子をみるに今すぐ話すのは無理そうだし、対談も苦手そうだ。というわけでLINEでも交換しようか」
「はぁ」
なし崩し的にスマホを取り出し、LINEを交換した。
「話す気になったら連絡してね。なんでもいいから」
響はこれから伝説に直面していき、連はこれから現実を直視しなければならない。
つくづくキャラに嫌がらせをする俺最強。




