第二話
僕の名前は早見連。この作品の主人公の一人である。と言うのも、これは文芸部の部員たちが成長していく様を写した物語なので、登場人物の半分は主人公な訳だ。
さて、僕について少し説明をしよう。
まずはじめに、僕は私立暁学園高等部の文芸部に所属している。そしてその文芸部の部長の、弟である。
しかし、僕と姉は正反対だ。容姿や性格など、何もかも。
僕は根暗で、普段本ばかり読んでいるが、姉は友達と遊び歩いている。姉は母のように髪が青いが、僕は真っ黒だ。父とも似ていない。どちらかと言うと父方の叔母に似ている。そして目の色すらも違う。姉は純粋な黒目だが、僕は世にも珍しいオッドアイである。左目は茶色で、右目が青い。ここが唯一父と母から受け継いだものと言っていい。
悲しい事に、僕は家族には、ほとんど似ていないのだ。目だけ。自分には分かりにくいそのポイントだけなのだ。
「ただいまー」
今日は日曜日で部活がない。本屋から帰ってきた僕は、自分の部屋で寝転がっていた。
姉はカラオケに行っていて、元からほとんど家にいない両親はもちろんいない。
この広い家に一人だ。
勿論最初は寂しかったが、10年も続くとそんな感情はもはやない。
僕は昔から友達が少なかったから、自然父の書斎で本を読んでいる事が多かった。
幼馴染達は年相応に遊んでいたし、僕は完全に孤独だった。
中学ではそれなりに勉強を頑張り、完璧超人のような姉と同じ高校に入った。
そしてその高校で、昔から姉に懐いていた幼馴染達と触れあうようになった。
それが、春や日向である。しかし、友達と言えるほどの絆はない。
僕の友達は本だけだ。アンパンヒーローよりも少ない。
友達はいらない。特にアホ毛の吸血鬼みたいに人間強度とかを気にしてるわけじゃないが、それでも人と関わるのはめんどくさいと思う。姉は化け物としか思えない。いや、それなら父と母もか。この家族コミュ力お化けか。
まあそんなこんなで生きてきた訳だが、最近どうも気になることがある。
それは、導響の事である。
勘違いしないでほしい。僕は決してホモではない。恋とかしたことないから分からないけど。多分ホモじゃない。
響とは高校に入学していらいの仲だ。二人とも読書が好きという点で意気投合した。
響が入りたい部活があるというので、ついていった訳だが、そこが、文芸部だった。