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第十五話

 映画を見終わり、少し早めの昼食をとる。

 翡翠はあれだけ食べたにも関わらず、ミラノ風ドリアを2つペロリとたいらげた。さらにピザも一枚丸ごと食べ、デザートにパフェも注文している。

 全く、この小柄になんでそんなに入るのだろうか。一度医者に行ったほうがいいんじゃないだろうかと思ってきた。

 しかし、ここまでの食べっぷりを見せられると、流石に翡翠だと信じざるをえない。


 昼食の後、ショッピング。

 服を見たり、本屋に寄ったりと、ショッピングモールをふんだんに使ったデート(手抜き)である。

 デートの時はショッピングモールに行っとけばいいってばっちゃ(会った事ないけど)が言ってた!

 翡翠は、キラキラした装飾がついた物には目もくれず、薄手のパーカーを見ている。

 赤と白と水色の三種類あり、どれにしようか迷っている様子だったので、声をかける。

「水色が一番似合いそうだな」

 その一言で、翡翠は試着もせずに、水色のパーカーをレジに持っていった。

 しばらくして帰ってきた翡翠は、満面の笑みで、俺が少し照れてしまうほどだった。

 そういえば、どうして翡翠は俺に告白してきたのだろう。確か俺が部活を引退した時だったな。引退してからも受験の必要がないから暇があれば顔を出していたが。

 あの時の俺は翡翠に好意を抱いていたわけじゃなかった。だから断ったのだが、そらからはやはり意識してしまって、卒業する時に俺が告白したんだっけか。

考えてみれば、両想いになる事自体がすごい確率なんだよな。

 その前に出会っていることすら天文学的な数字だ。

俺たちの日常は、全て確率で出来ていると言ってもいい。

 全ての確率を計算すると、きっと0がいくつ並んでも足りないだろう。

 その上で成り立っている日々って事を忘れないでと、確か西園寺が言ってたっけな。

 全くその通りだと、今更のように思う。

 思い出が輝くのは、その分だけの失敗があるからだとも言っていた。

 人生と言うのは不思議なものである。

 生きているだけで、奇跡と言えるのだから。

 当然の事すら、必然ではなく偶然の積み重ねなのだから。

 なのに起こってしまったことは変わらず、ずっとそのままなんだ。

 そしてその現状はちょっとやそっとじゃ変わらない。

 とても理不尽で、救いなんてないこの世界で、俺らは今日も生きているんだ。

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