第十三話
一難さってまた一難、と言うことはなく、俺たちは普通に文化祭の準備を進めていた。特段変わったことはない。
強いて言うなら、放課後のあの集まりが少なくなったことくらいだ。何故少なくなったかというと、連が親が帰ってくるまで頑張ってみると言ったからだ。
なので最近は今までに比べると早く家に帰れている俺であったが、弟がうるさい。まるで思春期の妹のようにうるさい。そして思春期の妹のようにたまにデレる。弟のツンデレ、しかも矛先は兄って需要あんの?海老名さん呼んじゃう?
とりあえず文化祭の準備は優良進行だ。文さんの負担もだいぶ軽くなっている。
部長の仕事が減ったと言うことは、ヒラ部員であるところの俺たちの負担などあってないようなものである。つまり、今は遊び呆けられる。
実際、最近はほとんど作業をしていないし、してもベタやトーンを1ページくらいで。文さんのペン入れ待ちがいくつかある状態だ。
小説に関しては、同じ内容を書き手によってどう変わるかを書くだけの簡単な仕事なので、後は冊子にしてもらうだけである。
イラストーー毎年部員たちの頭を悩ませる項目である。
絵を描くのもそうだが、もっとも難しいのは色ぬりである。デジタルでもアナログでもいいのだが、時間も手間もかかりまくる。
だが今年は『天才』がいる。
この存在がどれだけありがたかったか読者に伝えたい気持ちでいっぱいだ。色ぬりのコツなどを死ぬほどレクチャーされた。
疲れたが楽しいひとときだったな。
そんなこんなでもうすぐ文化祭の準備が終わり、しばらくゆったり出来る6月の頭には、6月には祝日がないとのび太くんばりの事を言うやつ(文芸部とは関係ないクラスメイトだ)もいるが、俺としては幸せな気持ちでいっぱいだった。
時間が取れた事により、翡翠とデートが出来るようになった。
というわけで日曜日、午前9時の駅の2番出入り口。学校に通うのに使っているところだ。
浮かれていた俺は、待ち合わせよりも30分早くそこについた。
まだ少し早いな、と左腕の腕時計に目をやり、待ち合わせ場所に視線を戻す。
無意味にその動作を10回以上も繰り返しながら、ガラにもなくそわそわしながら30分を過ごした。




