第4話「アル様の貯金箱」
ステラとアルは木の実の売買に精を出していた。
「ありがとうございましたー。アルさん、代金を受け取って下さい」
「うぬ、毎度ありがとうなのじゃ!」
需要が高く採集した分だけよく売れるのだ。それに加えて、余り物価を把握していない2人が提示した価格は相場の半額程度。これで人気が出ないはずがなく、次々と悪魔たちが木の実を購入しては、アルの背中にある穴に硬貨を入れていく。
そんな大繁盛の今日この頃、とある悪魔がステラに尋ねる。
「ところで、ここは何て店なの?」
本来の目的はダンジョンの資金稼ぎ。店名など考える必要がなかったのだが、もはや巷で評判になるほどの人気店だ。探しに出かけたのは良いものの、店名がわからないため誰にも聞けない悪魔が続出している状況である。
「えぇ……と、アルさん、何て名前がいいですか?」
「うぬぅ……難しい問題だのう。何か良い名前はないかの?」
「えぇと……アル様の貯金箱とかどうですか?」
「……ま、まぁ、ここの店名などどうでも良いからの」
「アルさん、それはどういう意味ですか?」
そんな感じで木の実専門店「アル様の貯金箱」は今日も大繁盛。二週間ほど荒稼ぎして、資金が銅貨三枚から銀貨十枚まで増えた。
「今日もお疲れ様だのう。うぅぬ……じゃが、いつまでこの資金稼ぎをやるのじゃ?」
「そうですね……そろそろ魔物育てを始めましょうか」
「何っ!? それはつまり、我の配下ということじゃな!? ところで育てるとはどういう意味じゃ?」
「それは後でのお楽しみです!」
興奮気味のアルを連れて、ステラは代理店にある購買部に向かった。