表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

第3話「木の実を売る少女、ステラ」

 ステラが代理人を始めたダンジョンは、掘立小屋しかない荒地に加え、資産は銅貨3枚。まっとうな魔王であれば経営を放棄するレベルである。


「うーん……どうすればいいでしょうか」


 そんな不良物件もいいところだが、ステラは投げ出さずに打開策を求め悩んでいた。あれやこれやと書いてみては没にし、もう何枚目かわからない紙を丸めて捨てた。


「何か手を貸せることはないかのう?」

「その……何か売れそうな物があると助かります」

「うぬぅ……そうか。ならば森の中にある木の実を集めるのはどうじゃろう?」

「木の実ですか?」


 それから一週間後。魔界の商店街の一角にて、木の実を売るステラの姿があった。


「木の実は如何ですか? 栄養価が高い木の実ですよー」

「……ステラ、貴女……何、しているの?」


 そこにルーテシアが通りかかる。


「ほら、ダンジョンを整えるにはお金が必要じゃない?」

「そ……そうね。それはそうなんだけど……」

「おひとついかが?」


 そんな代理人としてはあるまじき働きぶりに、代理店は元々低かったステラの評価を更に下げていた。しかしステラが知るはずもなく、今日も木の実を売ってお金を稼ぐ。


「あの……お呼びですか?」


 ある日、ステラはチーフに呼び出された。ガーゴイルのチーフは葉巻を咥えながら険しい表情をしている。


「お前……代理人としてのプライドは無いのかっ!?」

「えぇと……あります」


 なぜ怒られたのかわからないステラは、怯えながらも次の言葉を待つ。


「もういい……お前は住み込みで働け。給料は魔王から直接貰うといい」


 それは解雇宣言と同義だったが、ステラは通勤の無駄が省けて良かったと喜ぶ。


「ありがとうございます! これからも頑張ります!」


 ステラが元気良く飛び出すと、チーフは大きなため息を吐いた。

 こうして、ステラはあの掘立小屋で生活することとなる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ