表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

私が透明になる前の日

 私達は俗にいう身分差の恋ってやつだった。私が学生、彼が大学の職員ってこともあって、年の差もあったから、周囲には付き合っていることを言えなかった。だからデートはなかなか出来ないけど、初デートは観覧車に乗った。なかなか一緒に居られないけど、せめて身につけられる物を代わりにって、付き合って1ヶ月目はネクタイをプレゼントした。付き合って半年目はお揃いのミサンガをお互いに付けあった。彼の誕生日にはボロボロになっていた通勤カバンを見て、新しいカバンをプレゼントした。そして私の20歳の誕生日の日は彼とお酒を飲んだ。


 ある日、彼女は普通に自転車で大学から帰っていた。その前日、彼氏のなんともハッキリしない態度に少し怒った彼女は

「いいよ、私達付き合ってても○○のためにならないのでしょ?なんで別れないの」

 と言った。そんな彼女の反応に、彼はただ

「好きだからかなぁー」と笑うだけで、経験値の差なのか、彼女はまた軽くあしらわれたことが悔しくて、いつも心の奥をどこか隠したがる彼に対して、寂しさを抱えていた。ひとりが当たり前の彼の世界に私が入った。そんな彼は私を受け入れた。でも、どこかで、いつかひとりになる覚悟をしているように見えた。ひとりになろうとしないでよ。それが当たり前だって思わないでよ。私も君の見る未来に居させてよ。なんて言えない彼女は、ただ気持ちが上手く言えなくて、子供のように泣いてしまっていた。

「なんで泣いてるの?」

「…ばかっ!」と泣いて電話を切ってしまっていた。


「…なんで、思ったことは言えないのに、思ってもないようなことは言っちゃうんだ…私のバカ。」


 そんな昨日のこともあり、仲直りしようと思った彼女は、いつもの道を、いつものように帰っていた。ただ違ったのは、目の前にはライトが2つ彼女に迫って来て、眩しいくらい運転席にいる人がよく見えた。それは、意識が朦朧としているのさえ、分かってしまうくらいだった。狭い道で逃げ場なんてどこにもない。

 気づいたら彼女は病院で、ぐったりし、白く、そしてところどころ赤い染みがついている硬くなっている自分を見つめていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ