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生活をした日

 数日、そんな生活が続いた彼女は、少しだけど彼のことが分かった。

 30代独身、彼女なし、見た目もかっこいいわけじゃないし、世代的にも就職氷河期の世代、お金もあるはずない。部屋は、男性の部屋って感じで散らかっているし、自炊もあんましない。

「小食だから、買ってきて食べたほうが安いのも分かるけど、ちゃんと自炊しないとダメだよ。」

 そんな彼女の心配そうな声も彼の耳には届かない。

 ただ、彼は仕事には真面目に取り組むし、仕事から帰ると、自主勉強するほど頑張り屋で、小動物が好きで、子供にも優しい。

「ただのいい人。」…だと彼女は感じていた。そしてすごく深く何かを見ているような、すごく綺麗な目をしている人だと思った。

 ただ、いくら彼の前に姿を現しても、彼の目には彼女の姿は映らない、彼は彼女とは違う何かを見つめている、そんな感じだった。

「ねぇ、今日は何が楽しかった?」

 そう声をかけた彼女の声は…届かない。

「しょうがないなぁ。」とため息をついた彼女は、不思議な彼と住んでいて、彼の事が心配になる時がよくある。特に彼女がどうしても気になるのは、彼はいつも寝ている時に夢を見て泣いていることだった。

「私、透明な存在なんだけど、夢に入れる種類では無いっぽいし、物を動かせれるわけでもないしなぁ。」

 彼女は、そう言い、彼の寝ているソファーの横に座り頭を撫でようとする。しかし、彼女の透明な体は、彼の頭に触れることなく、透過した。彼の涙を拭うことも、彼を抱きしめることも出来ず、ただ見ているのがたまらなく悔しく、私も泣ければまだ楽なのにと、彼女は少し笑って言った。でもその声も届かない。

 彼女は仕方なく彼の寝ているソファーにもたれかかるようにして、目をつぶった。


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