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第八話 武器?

 おい、ちょっ、いくなって。

 どうすりゃいいんだよ。

 昨日もあんまり大したもの食べてないから腹減ってるし。

 腹が減って力が入らねえ。


 それにしてもでっかい木だなと、上を見上げながら思う。

 200メートル位はあるんじゃないか?

 どうでもいいけど。


 はあ、何かしないといけないよな。

 よし、気合い入れよう。


「うをおおおー、腹が減ったら戦はできねーぜ!」

 気合い入れる言葉がそれか?と疑問を浮かべつつも、叫んで立ち上がる。


 と言っても、腹が満たされたとしても倒せる相手なんて居ないだろうけどな。

 とりあえず最初の頃は草とかを食べながら、戦えるようになっていくってのが当分の目標だな。

 死なないことが第一だけど。



 何か自衛のための武器欲しいよなと思い、辺りを見回す。

「ちょっとそこらに伝説の剣とか落ちてねーかな」


 まあそんな都合の良いものは落ちていなかったので、ふと目に付いた1メートル位の棒切れを拾ってみた。


 てってれー、ミカゲは【ただの木の棒】を手に入れた。

 そこから彼の勇者への冒険が始まったのであった……。


 ってなるかー!


 何故か無駄にハイテンションでノリツッコミをしながら棒切れを軽く振ってみる。

「結構扱い易いな」


 意外と使えるんじゃね。

 真っ直ぐできれいだし。

 結構硬いしな、と言って手を打ったら予想以上に痛くて涙目になったりしたが。

 よし、これからはこの棒で戦おう。


 ミカゲは【ただの木の棒】を装備した。

 素早さが1下がった。……うん。


 この最強の棒切れを試す相手居ないかなーと無謀にも思って雑魚そうな敵を探し始める俺であった。


 っと、その前にこの森で迷ったらヤバいからな。

 何か(しるし)的なここが分かるものをしていった方が良いだろ。

 でもどうすんだ。

 何も持ってないし、木に印を付けていくのが一番楽かな。

 そうしよっかと地道に木の皮を一枚一枚剥いでいくのであった。

 刃物がないのが恨めしかったので木の棒に八つ当たりしておいた。手が痛かった。




 百八の斬撃を飛ばす我が秘技を食らいたい奴はいないか、とか(のたま)いながら歩いていた時、

「おっ、いたいた」


 子犬くらいの大きさの口みたいなのが付いてるタイプの食虫植物に出くわした。


 こいつは倒せそうだな。ケっケっケ。


 どうやって倒そうかと慎重に隙を狙っていたのだが、いきなりそいつが飛びかかってきた。


「うをおい」


 変な声を思わず漏らしながら、とっさに棒切れでガードする。

 すると怪物が棒切れをくわえた。


「わっ、何すんだよ」


 怪物の重たい体当たりの感触が棒を通して手に響く。

 ビビりながら慌てて思い切り棒切れを振った。

 怪物は棒から口を離して飛んでゆき木にぶつかってそのまま動かなくなった。


 あ、倒したかも。


 近寄……る前に木の皮を剥いでいって覗いてみても動く気配が無い。

 恐る恐る試しに棒でつついてみる。



 ボロッ



 途端に棒の真ん中の方が崩れ、先っぽの部分が地面に落ちた。

 え、何が起こったんだ?


 驚いて飛び退くも、恐ろしげな植物はしなっているままだ。

 不思議に思い、棒の崩れた所を見てみると噛まれていた場所だった。


 まさか噛まれた時にもろくなったのか?

 ひぃっ、こっわっっ!いや怖っ!



 と、その時、倒れていたはずの食虫植物がかすかに震える。


「うわっ」

 思いっきり退き、その勢いでコケる。



 «能力(スキル)"打撃耐性"がLV2にアップしました»



 もう、ナニコレ。ものすごく情けないんですけど。


 急いで立ち上がり、食虫植物の様子を窺うがもう動きそうにない。

 それでも不安だったので半分になった棒切れで植物を串刺しにしておいた。

 すると次の瞬間、短くなった棒切れが全て灰の様になって飛び散っていってしまった。


 え、嘘じゃん。マジで?一回しか使えて無いのに。


ただの棒(相棒)ー、俺の無二のパートナーだったのに……」

 急過ぎる別れに呆然する。


「新しい木の棒(相棒)探さないと。面倒くせーだろ、まったく」

 直ぐ気持ちを切り替える俺なのであった。


 不意に声が聞こえる。



 «個体名"ミカゲ=ウスイ"がLV3にアップしました» 



 あ、本当に倒したのか。

 ウィンドウを見てみよっか。



 【個体名:ミカゲ=ウスイ

 種族:ゴブリン LV3

 危険度:G

 状態:正常

 HP:9/9

 MP:0/0

 筋力:1 体力:2 スピード:3 瞬発力:4 知力:5386

 能力(スキル):毒耐性LV2 麻痺耐性LV1 打撃耐性LV2 痛覚耐性LV1 恐怖耐性LV1】



 ウーム、やっぱりMPは0のままか。

 そして筋力も……。

 何かあんまり変わらないな。

 筋力は伸びないのに瞬発力は2伸びる不思議。

 瞬発力ねぇ。まあ前世?でも動体視力とかはよい方だったから素早く反応することは得意だったけど。

 まだLV3だしこんなものだよな。

 そこは良いとして、スキルって耐性系しかないなんてことはないよな。

 5つ中全部が耐性って何だよ。

 俺戦えねーじゃん。負けにくく(と言うより死ににくく)はなるだろうけど、何だかなあ。

 まあ最弱の身体なのに多くを望むまい。



 取り敢えず移動しよかと魔物をつついた時に落ちたもう半分の40センチ位になってしまった棒をひとまずの代用品にしようと拾って、歩きだそうとする。

 その時、突然手に持っていた棒切れが震えだした。


 驚いて思わず棒から手を放す。

 棒切れが地面に落ちてからも震えている棒切れを見ながら震えている俺だったが、


 あれっ、灰のようなものが棒切れを覆うように集まってきている気が。


 俺の足の隙間や草の周りを這ってどんどん棒切れの周りに集まっていく。

 多分さっき崩れた棒切れの一部であろうものが棒の周りを一層濃く覆うように渦巻いてゆく。

 昔テレビで見た竜巻のような光景に圧倒されそれを幻想的にさえ思えた。

 しかし直ぐ心なしか棒を覆う灰が薄くなっていく。



 そして、ついに棒が見える様になった所には完全に最初に拾った時と同じ、つまりは元通りになった俺の相棒(棒切れ)が元からその状態だったと言わんばかりに当然のように存在していた。

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