第十四話 果物
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しばらく、先頭をサーシャに任せてこの広大な森の中をさ迷っていた。
『さ』は抜いても良いかもしれない。
そう言える位にはどこか分からなくなっていた。
いや、もとからどこか全く分かんなかったんだけどさ。
「ふぇぇ、ニブリンさんどーしますぅ」
「そうだな、もう少し進みましょうか」
「はーい」
可愛いな、癒されるわ。
……どうみても自分、ロリコンですね。ありがとうございます。
いや何言ってんだ、俺。
探索し始めた頃は腐蝕のことが不安で仕様がなくずっと考え事をして気を紛らわしていたがサーシャとのんびり会話しているうちにだんだん落ち着いてきていた。
その間ずっと鬱蒼とした森を直進していたわけだが、何が見えるも無く、たまに魔物が現れる程度のことしか無かった。それもサーシャさんが鼻歌まじりに瞬殺するため最早ただのウォーキングだった。痩せたかな?
エンカウントする魔物も植物系しか出なく少し拍子抜けな感じである。
危険が無いことは良い事だから別に悪かねえけど。
しかも、どれも毒々しい色をしていて食えそうに無い。
何の成果も無く今日が終わりそうだ。
あ、言い忘れてたけど思考加速スキルがレベル2に上がった。
ずっとごちゃごちゃ考えてたからな。
途中から思考がこんがらがってループしてたけど。
しかし、スキルってこんなに簡単って言っちゃアレだけど沢山手に入るものなのか?
俺としてはスキル無いと雑魚ステータス過ぎるから大歓迎だが。
もしかして俺チートだったり。
ううぇーい。まあ雑魚には変わりないんだけど。泣。
「ニブリンさーん、お腹すきましたぁ。何か食べたいですぅ」
「んー、そうしたいのはやまやまなんですけど食べるものがですね……」
「お犬さんは食べないの?」
「生で食べるのは少し危険ですから。それにあまりおいしくないと思いますよ」
「むー。じゃあ何食べればいいんですかぁ」
はあ、これ以上彼女に空腹でいさせるのもすまないし。
しかし、なんか食えるものとかあるか?
「まあ、何かしら食べれるもの見付けたら取ってみ……」
そう言いけていた時に視界に果物をたわわに実らせた木々が映った。
これ食えんのか?
んー、不安だがこのまま食わずにいても腹減って弱ったところを襲われんのが関の山だろうからな。
そもそも、俺は弱る前からすでに弱いんですけどねっ。
毒覚悟で食ってみるか?それでいけたらサーシャにも食べさせれば良いだろう。
実のことを言うともうよくわからん果物は一回食ったしな。
ハハハハハ世の中適当が一番である。
「じゃあ、あの果物でも食べてみましょうか」
「お、いいんですかぁ」
「安全だったらだけどな」
ぱっと見たところでは普通の梨って感じだな。
ふむ、なんとも言えない。
まあ、食ってみるか。
物凄く欲しそうな目で見つめてくるサーシャを手で制しながら果物を手でもぎ取る。
近くで見ても梨と全く見分けがつかず大丈夫そうなので一口かじってみる。
…………
不味くはない。
決して不味くはないのだ。
なんと言うかシャキシャキしている寒天を食べている感じというか、つまり味がない。
「サーシャの分もくださいよぉ」
まあ、体に変化はなさそうだし。
遅効性の毒とかじゃない限り大丈夫だろう。
でも、念のためにステータスの変化は無いか確認しておくか。
確認しても状態のところは腐蝕のまま…で……、っておい分からねえじゃん!
まあ、大丈夫か。体に違和感ないし、異常状態になってたら状態のところに一つ表記が増える気もするし。
ということで、確認しても正常に異常のままだったので、サーシャに得体の知れない果実を一つもぎ取って渡してやった。
「おー、いただきまーす!」
そう言って彼女は豪快に梨へとかぶり付く。
それを見ながら、俺も梨の残りを食べだした。
少しの間、森の中に咀嚼音だけが響く。
しかし、本当に静かだよな。
わんさか魔物に居られても困るけど生き物の気配がないってのもそれはそれで嫌だよな。
まあ、そもそも森の中に放り出されるってことが嫌って言うか、理不尽極まりないんだけど。
それはいいとして。
生で果物を丸ごとかじると言う貴重な経験(二回目)をしたところで、サーシャも最後の一口を飲み込んだようだった。
「ふむ、まひゅまひゅほいひかっはへふ」
いや、食い終わってなかったんかい。
「ちゃんと飲み込んでから話してくださいよ」
「ん……ゴクン。ぷはっ、まずまずおいしかったですっ!」
俺としては美味しいかどうか以前に味が感じられなかったが彼女的には及第点だったらしい。
と、目の隅にサーシャさんがおねだりをするように両手を広げているのが映っていた。
仕方ねえなと思いつつ、自分の分とサーシャの分の果物を取るのだった。
数十分後。
ひとまず腹は満たされている俺達の姿があった。
「ふう、満腹ですぅ」
「うう、吐きそうだ……もう食いたくねえ」
「何ですかぁ、そんなこと言うなら私にくれれば良かったのに」
「まだ食べれるんですか、サーシャさん……」
今後、食料が安定して手に入る保証は無いため食えるものがあるなら今のうちに食っとこうと思ったのが失敗だった。
なんと言うか、腹を満たすという点では一応成功したのだが、腹を乱すという点で大失敗をした。
こんな危険な場所に居るってのに何故そんなに食べてしまったんだろう?
と考えても後の祭りで、吐き気というともすれば空腹よりも悪質なものを獲得したのだった。
……ダメじゃねーか
唯一の救いはサーシャのコンディションは回復したってことか。
「で、これからどうするんですかぁニブリンさん?」
「まあ、湖を探すしか……」
「そーですかぁ」
と言ったものの、無駄にのんびり果物食ってたせいか無駄に迷っていたせいか日が陰りつつあった。
湖か、もしくは人の居る街を見つけるのが目標というか目的な訳だが日を跨ぐとなるとやはりどこかで日を越す必要があり、それが一番安全なのは精霊のところの大樹ではあるが、いちいち戻ったりするとなると往復するのが時間の無駄となり、なかなか進めなくなる。それにここまで数時間掛けて歩いてきた距離を疲れている状態で今から暗くなるまでに引き返すのは無謀だ。
昨日経験したから分かるが、夜になれば月の光のお陰でなんとなく周りが見えないことはないが恐ろしい程に暗い。日が完全に隠れてしまったら木に付けた印をたどることすら困難だろう。
そうは言っても今から安全な場所を探す方がよっぽど無謀だし、野宿をしても危険は付きまとうだろうがこの際仕方がない。この中では野宿が一番現実的だ。どうせ野宿するなら早いうちに心構えしてた方が良いしな。
それにこれまでの傾向としてここらの森は今日何度もサーシャに瞬殺された雑魚(俺を殺せる程度)の植物型モンスターが主流の地帯だろう。
そして、そいつらは器用にジャンプして攻撃してくるが木の上から来ることはなく、別にそれ以外でも今まで一度も木に登っている魔物を見たことがない。
要するに、木の上で野宿をしようということだ。
「という訳なんですが、サーシャさんは良いですか?」
「何がという訳か分からないし、今回に至っては脈略以前に話が見えないんですけどぉ。まだ探索続けるってことですかぁ」
「いやいや、もう暗いので木の上で野宿でもしようかと」
「おー、木ですかー」
「はい、一番無難かなぁと」
「いいよぉ、楽しそうだし」
「じゃあ、そうしましょうか」
まあ、こんなわけでグダグダな異世界?生活の2日目もなんとか乗り越えれそうだった。
これフラグじゃないよな?
そりゃ、夜が一番危ないだろうけど……
そう思いながら、込み上げる吐き気を抑えつつ登りやすそうな木を探すのであった。




