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「アンケート開封の時間がやってきました!」

 どんどこどんどこ。心臓の中で誰かがダンスを踊っている。

「結果は……」

「半分半分!?」

 ハジメが回収した髪を見て、あたしは愕然として叫んだ。そんな馬鹿な。

「なんか、内申気にした人がなしにいれたみたいだよ」

 ハジメの言葉に、アンケートの意見を読み上げていく。

 別に制服は着れればいいだとか、おしゃれに興味がないというのもある。

 けれど、なかにはこんなものもあった。

「あたしは今オシャレができない公立がつらくて不登校だけど、もしショーのような恰好ができるなら転校したい、だって。そんな子もいるんだ!」

 うん、あたしは間違ってない!

 アンケートの結果だけがすべてじゃないはずだ。あたしは負けない!

「夢子さん、あとはネットのアンケートも確認しないと」

 そう言われて画面に食いつく。そこには、色々な意見があった。けれど。

「ネットでは3分の2が賛成だ!」

 あたしは思わず指をぱちんと鳴らした。

「花野学園に入学したいって意見も多いよ、夢子さん」

「これは理事長喜ぶね!」

「おめでとう! 2人とも」

 久住さんもあたしたちを祝福してくれた。

 これで反対されるはずはない。あたしたちはやり遂げたのだ。大きなため息が漏れる。

 気が付いたらあたしは千鶴ちゃんにメールをしていた。

 返信は、ない。

 そういえばさっき写メを送った時も返事がなかった。急に不安になる。

 体調は良くなったはずだし、小枝子ちゃんもそばにいるから、きっと元気なはずだけど……いや、小枝子ちゃんがいるなら、小枝子ちゃんから電話なりメールなりあってもいいんじゃないのかな?

 そんな風に考えていた時、部屋の扉が開いた。

「千鶴ちゃん!」

 そこには車いすに乗った千鶴ちゃんがいた。

白いレースをふんだんに使ったシャツと、黒いパンツをはいてにっこり笑っている。

 顔色も悪くない。

「心配かけたな。声、外まで聞こえてたぞ。おめでとう」

「無事でよかった……」

 車いすをひく小枝子ちゃんもうれしそうに笑った。

「アンケートの結果はオレが責任もってお母様に届けておく」

「ありがとう千鶴ちゃん」

「お母様も、何もわざわざこんな意地悪をしなくてもいいのにな。別に自由な校風に反対していなかったのに」

「どういうこと?」

「生徒指導の先生を煽って、生徒の自主性を尊重しようとあえて校則一時的に厳しくしたらしい」

 やれやれ、と千鶴ちゃんは手をひらひらさせる。そんな馬鹿な!

「その結果がこれだが。予想以上だ夢子」

「千鶴ちゃんは気が付いていたの?」

「ああ。あえて言わなかったが」

「いじわる……あたし全世界にすっぴん公開したんだよ?」

「度胸はついただろう」

 それはそうだけど。

「すっぴんでも夢子はかわいいんだ。この世にかわいくない女の子はいないんだ、自信を持てばいい。笑顔で幸せそうにしていれば、みんなかわいい」

「千鶴ちゃん……気障……」

「……あたしもそう思う」

 あたしの意見に小枝子ちゃんも同意する。

 千鶴ちゃんは納得いかなそうにほほを膨らませた。

 ハジメと久住さんはそんなあたしたちを見て笑っている。

「じゃあ改めまして紅茶で乾杯っと」

 外はもう暗いけれど、部屋の中はキラキラしてるような気がする。

 あたしたちは千鶴ちゃんが持ってきてくれたマシュマロとクッキーを広げて、ワイワイとはしゃいだ。

 たくさん写真も撮ったし、結果報告もネットにした。おばあちゃんに連絡したら泣いて喜んでくれた。

 幸せだった。

 それが、ずっと続けばいいのにと思った。


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