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輪廻転SHOW!魔王の息子  作者: 月のそうま
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ゴブリン狩りなのです

翌日、ウイングたちは朝からパーティー単位でゴブリン狩りへと出掛けることになった。

ゴブリンたちは散り散りに逃げたため、山狩りならぬ樹海狩りをすることになったのだ。

ついでに昨日の戦闘で上げた首級を各自取りに行くというのもあった。


ライアスたちも南側百五十のゴブリンを斬り捨てて、斥候部隊の陣地まで首級も取らずに救援に来たため、それを回収したいという思いもあった。


首級と言ってはいるが、今回の討伐証明部位はゴブリンの額にある魔石である。


朝一番のリーダー同士の会議で、南側百五十のゴブリンは攻撃に加わった約二百名で山分け、陣地の東、五百ミョーン以東のゴブリンは斥候部隊の取り分、陣地周辺のゴブリンはアールタイルの部隊と斥候部隊で四割、南に行った攻撃部隊で三割、『紅蓮の獅子』が率いる百名で三割という風に決まった。


ひと通り魔石を集め終わったら、一度陣地に集まり分配、そこから樹海狩りを本当の意味で開始することになる。

出会うゴブリンを倒して魔石を回収。それはそのままそのパーティーの取り分になる。


ソロの冒険者たちも、臨時でパーティーを組んだり、どこかのパーティーに入れてもらったりしているようだ。


昼過ぎに一度、全冒険者が集まる。

シューティの町で暮らす冒険者の八割ほどが一堂に会することになる。


戦死者は四十六名だった。

南に行った攻撃部隊は三十五名を失っている。その内二十八名はレイオーンの馬鹿な指示で約六百のゴブリンを包囲したために死んだ。七名は南側百五十匹のゴブリンとの戦いで失っている。


戦死者、残りの十一名は『紅蓮の獅子』率いる部隊の者で、包囲を破られた時に亡くなっている。

全員、口にこそ出さないが、『紅蓮の獅子』への風当たりはかなりキツくなっていた。


倒したゴブリンは南側で百六十二匹、東側で三十匹、陣地周辺で百十五匹だった。

単純に考えれば、まだ四百五十匹ほどのゴブリンが樹海を逃げ回っていることになる。

対する冒険者は三百四十九名。

敵が一箇所に固まっているならまだしも、樹海狩りでどれだけ倒せるかは不安が残るところだ。


昼過ぎに戦果の確認が終わると、それぞれが思い思いに散っていく。


「ムース、元気ないです?」


ウイングは昨日から元気のないムースに聞く。

ムースは空元気を振り絞って、力無く笑ってみせる。


「大丈夫ですよ……少し疲れただけ……」


樹海の中をミルキルの先導で元、四百のゴブリンが住処としていた大きな木に向かって進む途中である。


「何かあったです?」


「大したことじゃないから、気にしなくていいのよ……」


やはりムースの顔は引きつっている。

マルガレーテが全体に止まれの指示を出す。


「ムース、調子が悪いなら言って欲しい。

少し休むか?」


マルガレーテが聞く。


「ごめんなさい、マルガレーテ……身体は大丈夫よ。

ただ……」


言ってムースは考え込むようにして、口を閉ざしてしまう。


「昨日、レイオーンさんと何かあったんですか?」


アリアがムースを呼びに行った時、見つけたのはリーダーたちが話し合いをしていた近くだった。

アリアは、ふとムースに何かあるならレイオーンのことではないかと思い至ったのだ。


「またアイツと何かあったのか?」


ミルキルはこういう時、躊躇しない。

それで観念したのか、ムースがポツリポツリと語り出す。


「シリスがね……冒険者を辞めたらしいの……」


「言われてみたら、『紅蓮の獅子』について行った子はいなかったな……」


マルガレーテが思い出したように言う。


「まあ、合わなかったんじゃねーの?

レイオーンはあの通り、キザったらしくてムカつく奴だし……そもそも『紅蓮の獅子』が受ける仕事なんて、樹海の奥のヤバい仕事ばっかりだろ……」


ミルキルの言葉に半ば被せるようにモーリーが疑問を口にする。


「レイオーンのことを愛してるだの言ってた子でしょ?

ムース姉さんが横恋慕してるとか勘違いしてたみたいだけど、ムース姉さんの忠告を無視してついて言って酷い目にあったとしても自業自得よ。

『紅蓮の獅子』を抜けるだけじゃなくて、冒険者まで辞めちゃうのは、その子に適性がなかったからってことじゃないの?」


「え、ええ……そう、よね……」


ムースは何とか気持ちを立て直そうと自分に言い聞かせるように頷くが、その試みは上手くいったとは言えないようだった。

その表情が暗く沈んだままなのが証拠だ。


「ムースはドーパンっていう名前は知ってるです?」


「それって商人のドーパンのことか?」


ウイングの言葉に言葉にミルキルが反応する。

ムースは顔にはてなを浮かべている。


「成金趣味のおっさんなのです」


「でっぷりした悪趣味な男だろ?」


「ミルキルは知ってるです?」


「知っては……いるけど、直接の面識はないな……。

ちなみにウイング、ドーパンには近付かない方がいいぞ。

表向きは武器屋から食材まで手広くやってる商人だけど、かなり悪い噂がある男だからな……」


「そのドーパンが『紅蓮の獅子』に指名依頼をしているです」


「うえっ、『紅蓮の獅子』がドーパンの依頼を受けてるのか……そりゃキナ臭いな……」


嫌そうな顔でミルキル言う。


「どういうことだ?」


マルガレーテの質問にミルキルは少し思案するが、ちらとムースを見ると意を決したように口を開く。


「シム湖の西、奥まで行くと沼地がある。槍地竜スピアドレイクを単独パーティーで倒せるくらいの力量がないと行けない場所だ。

あたしらが『白夜の華』やってる時に何度か行ったよな?」


「ああ、黒いのに『白い沼』とか呼ばれている……」


マルガレーテが記憶を探るように言う。


「その沼地が『白い沼』と呼ばれてるのは理由があるんだ……」


「理由ですか?」


アリアが分からぬままに聞く。


「その沼に現れる魔物で枯木ワニ(デッドツリーアリゲーター)ってのがいるんだ。

白い枯木に擬態しているやつで、そいつの持ってる毒が強い幻覚を見せる中毒物質で、いわゆる御禁制の品なんだ。

その毒にやられると、なんでもかんでも後光が差してる神々しい物に見えて、しかも多幸感に襲われるらしい。

んで、ついた名前が『ホワイトアウト』。

拝んで動きが止まっている間に喰われちまうって……」


「麻薬なのです……」


ウイングが呟く。


「つまり、『紅蓮の獅子』がそのドーパンという商人の依頼を受けて『ホワイトアウト』を取りに行っていると?」


マルガレーテがまとめる。

しかし、ミルキルはかぶりを振って、肩を竦める。


「わかんないよ。ただ、ドーパンは裏で『ホワイトアウト』を扱ってるって噂があるし、『紅蓮の獅子』が私たちより樹海の奥地によく潜ってるなら、可能性があるってだけで、ね……」


「ギルドの職員なら依頼の内容は分かるんじゃないかしら?」


モーリーが言う。


「いや、だとしても『ホワイトアウト』を取ってくる依頼なんかギルドが通す訳ないだろ?」


ギルドにも審査がある。

最低限、冒険者に通していい依頼かどうかは調べる。


「その沼地では他に何か依頼になるものはあるです?」


ウイングが聞く。


天牛レッドブルってのがいる。高級食材で、角が薬になる。あとは巨頭蛙ヘッドフロッグの卵も薬の材料だな。

どっちも白い沼で取れる」


「じゃあ、それを依頼にして誤魔化すとかできるですかね?」


「でも、天牛レッドブルは翼を持ってて飛ぶから狙って狩るのはかなり難しいし、巨頭蛙ヘッドフロッグの卵はメブキの季節しか取れない……って今か……まだちょっと早いかもしれないけどな……でも、ドーパンと『紅蓮の獅子』の繋がりを調べたらホコリは出そうだな……」



「町に戻ったら調べてみよう……」


マルガレーテが心に決めたように呟く。

思案顔になるのはモーリーだ。


「あの、姉さんたちはなんでそうまで『紅蓮の獅子』に拘るのでしょう?

確かに『紅蓮の獅子』は新人の女の子が入るたびに辞めていったり、あまり他の冒険者から好かれていないのも分かるんですけど、ギルドのトップパーティーを潰すようなことをするのは、私たちの仕事なんでしょうか?」


「ん?ああ、まあ……その……なんだ……」


ミルキルやマルガレーテが何とも言えない顔になる。

『白夜の蒼炎』内でムースの問題を知らないのはアリアとモーリーである。


「モーリーは『紅蓮の獅子』が悪いことをしていても気にならないです?」


「そういうことじゃなくて、『紅蓮の獅子』に問題があるとしたら、それを正すのはギルドの仕事で、私たちの仕事じゃないでしょう?

わざわざ危ないことに首を突っ込む必要を感じないと思うの……。

ギルドに報告だけして、後はギルドに任せるのが筋だと思うのよ……」


モーリーは納得がいっていないというのを、はっきり表明する。


「アリアはどう思う?」


マルガレーテがアリアに聞く。


「私は、ウイングが冒険者の適性検査を受けた時にレイオーンさんがウイングにしたことが許せないんです。

潰すなんて大それたことは言えないですけど、ウイングがやりたいことなら手伝いたいと思ってます……。

ウイングを冒険者に誘った責任がありますから!」


「ウイングの適性検査?何かあったの?

ウイングがレイオーンを怪我させたのは知ってたけれど、それは検査で張り切りすぎたからじゃないの?」


「実はですね……」


アリアはモーリーに適性検査の話をする。


後衛審査でウイングが力を見せつけ、的を鉄塊にされた話や、前衛検査で真剣対木剣にされたことなどを背ビレ尾ビレを交えて話す。その度にウイングからの訂正が入るので、事実を事実として認識してもらうことには成功したようだった。


「じゃあ、それの意趣返しをみんなでしようって話?」


モーリーはそれならばまだ納得できるという顔になる。

仲間がやられたことの意趣返しならば、トップパーティーを敵に回して潰しても構わないという考えは、情が深いゆえと言うこともできるが、若さゆえの暴走でもあるのだろう。


「別に僕はもうそのことは気にしてないです」


しかし、ウイングの反応は素っ気ないものだった。

アリアはそこに理由がないと知って、多少の戸惑いは見せるものの、それよりも聞き逃せない言葉を見つけてしまう。


「そのこと『は』?じゃあ、何を気にしてるんです?」


「それは……」


やはりウイングも言い淀む。


「それは、私の復讐なの……」


「え?」


「ムース姉さん?」


「ごめんなさい……ウイングもマルガレーテもミルキルも、皆、私の気持ちを汲んでくれてるの……」


ムースが全員を見回す。


「私が冒険初心者の女の子たちに、『紅蓮の獅子』について気を付けるように言って回ってるのは、知ってるわよね……?」


「おい、ムース……」


マルガレーテがムースを気遣うように声を掛ける。


「いいのよ、マルガレーテ……。

疑問を持ったなら話して聞かせるのは、私の役目だわ。

それに、いつかは言わなきゃならないことだもの……」


「どういうこと?」


モーリーは少し緊張しながらも聞く。


「私はね……」


そこからの話はウイングが聞いたのとほぼ同じ話だった。

ひとつ違ったのは、ムースの表情だ。

何を言われても受け止めるしかないという諦めのような顔。

女同士だからこそ理解もできるし、反発も生まれる話なのだ。

そして、ムースが今まで話せなかったのは、アリアもモーリーもムースを慕ってくれるからこそだった。

男に穢された女だと思われたくない。

弱い女だったのだとそっぽを向かれるかも知れない。

信頼を裏切られたと言われればその通りだ。

それらが怖かったからこそ、羨望の眼差しを向けて慕ってくるアリアやモーリーには話せなかった。

ムースは『紅蓮の獅子』に騙され汚され、逃げ出して、それでも行き場がなくて冒険者を続けた。

自分を知る者がいないと知ると、復讐するでもなく、その場に留まり訳知り顔で忠告はするものの、証拠がないからという理由で追及は避けてきた。

自分という証拠があるにも関わらずにだ。

そんな自分のエゴを見せることで、自分を慕ってくれる者の目線が変わることすら怖がっている。


自覚があるからタチが悪いと自分を分析しているくせに、これまで行動を変えてこなかった。


ムースは断罪されるのを待つように口を閉じた。


アリアもモーリーも、誰も口を開かず、暫しの時が経つ。


しかし、最初に口を開いたのはモーリーだった。


「強く……強くなります。

今はまだ『紅蓮の獅子』と正面からぶつかって犠牲なくアイツらを殺せるとは言えないですけど、もっと強くなって、殺してやりましょう!

それから、他の国に行って冒険者をやりましょう!

いざとなったらこの国を捨てる覚悟はできてます!」


その言葉にウイングは驚愕を隠せない。


「いいっ!?

極論すぎなのです……。

それに国を捨てたらモーリーの家を再興する目標はどうするです?」


「だって、許せないじゃない!そんな奴ら死んだらいいのよ!モーリー姉さんの憂いを晴らすには、これくらいしないと収まらないわっ!」


怒りのあまり、モーリーの思考は極端な方向にぶっ飛んだらしい。後先考えず、瞬間的な発言なのかも知れない。


「待て待て、ちゃんと考えて発言しろよ……モーリーの怒りは尤もだし、あたしも初めて聞いた時は弓を握って飛び出しそうになったけど、それを背負うのはムースだぞ!

お前はムースに、自分のひと言で仲間が殺人者になったって重荷を背負わせるのか!」


「それは私がミルキルに言った言葉だな……」


ミルキルの説得の揚げ足取りをマルガレーテが行う。


「それは今、言うなよ……」


ミルキルがへこむ。

場がカオスになりかかったところで、手を上げる者がいる。


「あの〜……」


アリアだ。


「なんです?」


ウイングが続きを促す。


「私が潜入捜査して、証拠を掴むというのはどうでしょう?」


「はあ?何言ってるです?」


「ようするに、証拠が無いからギルドに訴える訳に行かず、野放しになってるんですよね?

今の私なら、逃げ出すくらいはできると思うんですよ。

ちょうどこの間までレイオーンから勧誘されてましたし、いいと思いません?」


「ダ、ダメです!そんなの危ないです!」


「そうですよ、アリアさんに何かあったらどうするんですか!?」


ウイングとムースが矢継ぎ早に否定する。

だが、ミルキルは肯定的な意見を出す。


「いやいや、悪くないんじゃねーの?

あたしらと喧嘩したとか言って、ちょっと甘いこと言えば食い付きそうじゃん。

それにあたしらがちゃんとバックアップしてやればいいじゃん!」


「そうだな、アリアは戦闘に関して言えば私たちと匹敵するくらいの技量はあるし、いざとなれば奥の手の魔法もある。

もし、ダメだと思ったらすぐに逃げられるように私たちがフォローしてやればいい」


マルガレーテも賛成意見だ。


「私だと顔が売れ過ぎてるからダメね……本当なら私がやりたいところだけど、アリアに譲るわ……」


「モーリーじゃ、考えてること全部顔に出ちゃうからな!」


「ミルキル姉さん!顔が売れてるってそういう意味じゃないんだからねっ!」


「あれ?そうだっけ?」


それから、ムースとウイングはなおも反対しようとしたが、アリアがやる気になっていたのもあって、黙殺されてしまう。

最後には「ムースさんとウイングにやる気がないなら、私たちだけでやりますから、聞かなかったことにして下さい」とアリアに反論を封じられれば、二人とも参加せざるを得ないのだった。


希望が見えたという顔をする四人とは、裏腹にムースとウイングは別の意味で顔を曇らせることになったが、先程に比べれば空気は格段に軽い。


遅れを取り戻すべく、『白夜の蒼炎』はミルキルの先導でゴブリンの住処に到着する。


巨大な木だった。

胴周りは人が手を繋いだら何百人必要になるのか分からない。

高さは周囲の木々の倍はあるだろうか。その大きく張り出した枝は捻くれて、辺りの木々は窮屈そうにしている。


影に覆われた広場のように下草が生え、木もれ陽が数条の光線となって降り注ぐように辺りを照らしていた。


その広場に入らぬように、木々に身を隠すようにウイングたちは樹上の枝葉を注視する。


「いるな……」


ミルキルが小声で呟く。


「十二、十三……まだ隠れているかしら?」


見える数を数えながらモーリーがそっと戦斧を握る。


「アリアとミルキルは右手側、ムースとウイングは左手側から木の中心に追い込む形で落としていってくれ。

モーリーは私と広場で囮になる」


手早くマルガレーテが作戦を纏めると、全員が動き出す。


それぞれが位置につくと、マルガレーテとモーリーが広場を抜けて、中心の巨大な木に向かって走り出す。


「ゲキャーッ!」


気付いたゴブリンが鳴き声を上げると、あちこちから同じように鳴き声が上がり、五匹ほどが木を駆け下りてくる。

その他のゴブリンたちは枝を伝って逃げ出しそうにしている。

と、広場の左右から魔法と矢が撃ち込まれる。

初撃はしっかりと狙いを定めたのもあって、魔法と矢に射抜かれたゴブリンが落ちてくる。


マルガレーテとモーリーはさすがコンビで戦い慣れているのか、そこからは蹂躙だった。

マルガレーテの大盾が金剛石の固さを持つ牙を正面から受け止めると、モーリーの戦斧がたたらを踏むゴブリンを横合いから斬り飛ばす。

攻撃後の隙を狙われたモーリーと体を入れ換えるようにして、マルガレーテが別のゴブリンの放つ風の砲弾を斜めに翳した大盾で受け流す。

それらの動きは流れるように行われて、モーリーが隙を生じさせる大振りを多用するのも、狙いなのではないかと思わせる。


一方、遠距離から敵を逃がさないようにするのが、右手側のアリア、ミルキル組と左手側のウイング、ムース組の仕事だ。


アリアとムースは五本の炎の十字剣を放つ『ミカエルの術理』と呼ばれる魔法で広範囲の足止めをする。


恐れたゴブリンが中心に集まる。


そこを狙うのはミルキルの矢とウイングの魔法だ。

ウイングの矢は昨晩の内に全てミルキルに渡してある。

ウイングは火弾ファイアブレットの魔法を使っている。

息の根を止めるのではなく、撃ち落とすことを目的とした攻撃。

高所から落ちてそのまま、というゴブリンもあれば、下に降りた瞬間、モーリーの戦斧で両断というゴブリンもいる。


ゴブリンロードを失い、統制を取れるリーダー的な個体がいなかったのも幸いして、各個撃破されていった。



そうして、陣地まで戻ってみれば、他の冒険者たちも概ね問題なくゴブリンを倒したらしい。

しかし、ゴブリンの全滅はならなかったと見た方がいいだろう。

以後、シューティの町では定期的にゴブリン狩りの依頼が出されるようになる。


『紅蓮の獅子』が出した命令は戦時下ということもあって、ギルドから特段の咎めはなかった。

『風界の鷲』ライアスはかなり粘ったようだが、援軍を間に合わせたことと、ゴブリン狩りで最大の魔石獲得数十八体をマークした戦功が考慮され『紅蓮の獅子』の命令間違いは相殺となったのである。


「ちぇっ、もうちょい粘ってゴブリン狩りするべきだったか……」


ミルキルは戦功表彰の場で呟いた。


「ふん、ギルドが許したところで他の冒険者たちは許さない。

いつかアイツらもそれを知る時が来るだろうよ……」


『深緑の狼』ロックも呟いた。

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