第十八話Σ(д゜*)
…僕の部屋にクピドさん、お母さんの部屋に篠崎さんと芙乃さん。残りは海さんと美藍さんと鈴鳴ちゃんと澪さんとミシャルさん…
うぅー足りない…ベッドが足りない…。
澪「どうかしました?」
僕「ちょっと…ベッドが。」
澪「足りないんですか?」
僕「…はい。」
澪「なら…任せて下さい。ペンと紙くれますか?」
?
僕「はい、どうぞ。」
言われるままにペンと紙を差し出したが…これで何をするんだろ?
澪「…プロセルピナ、召喚…!」
えっ、えっ?
えぇーーッ!?
あわわ!明るくなった!眩しいッ!えっ何が起こったの!?
篠崎「いつもの事ですから気にしないで平気ですよ。」
そ、そうなんだ…。
ってえぇ!?おかしいよ!
あの子は人間じゃないの!?
美藍「流石悪魔と契約するだけありますね。錬金術等も心得ているとは驚きです。」
僕「あのぅ…錬金術ってそもそも金を作るものでは…?」
美藍「本来は、そうです。でも応用すれば何でも出せますよ。」
な…なんてこった!
凄いなぁ…ってじゃあまさか!
僕「錬布団ですか…!?」
篠崎「そ、そうなりますね。」
篠崎さんが苦笑いしながら頷く。…錬金術で布団を出すなんて出来るんだ…凄いな。
プロセルピナ(以下プロセ)「…何か用?マスター。」
ま、マスター!
何ていい響きなんだ…!
僕も言われt…
何でもないです。
海「まぁ、人間ならそうかもな。」
…はぅっ!また心読まれた…!は、恥ずかしい…
プロセ「知らない人だらけ…ま、マスター!もしかして友達出来たのっ!?嬉しいわ!」
澪「決めつけないで。」
プロセ「皆で仲良くお泊まり会なのね…!シャックスにも報告しなきゃ…!」
澪「しないで。また誤解が生まれるから。」
謎の会話をしてるけど…、あの人がプロセルピナ?
てかプロセルピナって誰?
初めて見る人だけど…。
海「プロセルピナは、冥界の女王だよ。」
冥界って…あの世すか!?
えぇえ!?じゃああのペルセポネさん!?
海「ペルセポネって言えば分かったのか?」
僕「デメテルの娘で、確か…」
ハデスがキューピッドの矢の効果で、好きになった…ってキューピッド=クピドさんじゃぁあないかぁあ!!
クピド「~♪」
口笛吹いて誤魔化してるし…
プロセ「…で、私は何をすればいいの?」
澪「布団出して。」
プロセ「布団…?あぁ、皆で集まって寝るのね。はいはい、任せておいて、マスター。」
冥界の女王を召使いにする人間なんて…もはや人間じゃない。天使を従えるならまだしもー…
プロセ「bedclothes come into existence!」
何だ、何なんだぁっ!!
急に英語とかワケわからないよぉお!しかも何?地震?
この家揺れてるんですけどぉお!
うわっ眩しっ!
一瞬の光を身に浴び、目が眩む。光が見えなくなった後、目の前にあったのは、床を敷き詰める程の布団だった。
僕「リビングが布団で埋まった…」
プロセ「これだけあれば充分よね。」
澪「充分。」
篠崎「折角だし、皆で寝ませんか?」
芙乃「男も一緒にっていうの?」
流石に芙乃さんには抵抗があるのかな。
美藍「私はどちらでも。」
澪「同じく。」
鈴鳴「私は、皆と一緒がぃぃなぁって…」
クピド「嫌ならボクは違う場所に寝るけど?」
美藍「もし本当に嫌なのであれば、周りを女子で囲んであげますよ?」
芙乃「それならいいけど…」
篠崎「じゃあ決定!」
皆それぞれ寝たい場所まで行き、自由に布団に入った。
僕はとりあえず端の方で寝るとしよう。
クピド「ねぇ、鈴村君。」
クピドが僕の前に寝ていて、布団を掛け、枕に顎を乗せるような形でこちらを見ている。
僕「何?クピドさん。」
クピド「何かさ、思わぬ展開になっちゃったね。」
僕「そうだね。」
クピド「1日、どうだった?」
僕「楽しかったよ、皆とこういう風にわいわいやった事、あまり無かったから。」
クピド「そっか…、良かった!」
僕「?」
クピドはそういうと、直ぐ様寝る体制に戻って、寝始めた。
僕(クピドさん、疲れちゃったのかな…)
幸の薄そうな僕の為に、こうやって皆を集めて来てくれたんだから、疲れて当然だよね。
後でありがとう、って伝えなきゃ。
?「ねぇ私も一緒に寝ていい?」
僕「ん?あぁ、霊奈ちゃん?」
霊奈「布団とかの温もりは分からないけど、私も生きていた時のように、こうやって寝たい。」
僕「布団あるから寝なよ。折角だし。」
霊奈ちゃんはそこから動こうとはせず、じっと物言いたげに僕を見つめている。
僕「どうしたの…?」
霊奈「布団…余ってないよ?」
僕「へ?」
霊奈「だから誰かに入れてもらおうと思ったの。」
僕「……」
確かにリビングに敷き詰められた布団には、皆が寝ていた。
一つだけ空いてるように見えるが、あそこには孔罹亞くんが眠っているのだろう、誰も居ないように見えるが布団が盛り上がっている。
霊奈「ねぇ、その布団に入れて?」
僕「!?」
まさか僕のすぐ横で寝るの!?
霊奈「…駄目?」
でも駄目っていう訳にはいかないし…
僕「…いいよ、はい。」
僕はそう言って布団を開いた。霊奈ちゃんが滑るように布団に入る。
…幽霊と一緒に布団で寝るって…言葉だけ聞いたらかなりホラーだよな…
霊奈「…嬉しい。」
独り言のようにぽつりと言葉を溢す霊奈ちゃん。
僕「……そう、それは良かったね。」
霊奈「本当は私の事怖いんでしょ?なのに………、ありがとう…。」
僕「…どういたしまして。」
本当は、人間じゃない者がいる中に寝ているって正直、怖いよ。
でも、君達とは…
学園生活を共にしたり、
こうやってわいわいしたり…
そんなに人間と変わらない関係を維持していると思うんだ。
だから、安心して眠れる…。
霊奈「…温かいね。」
僕「うん…。」
霊奈ちゃんが言った“温かい”は恐らく、皆の雰囲気だと思う。違う存在を互いに認め合い、仲良くしていく…その関係こそ、“温かい”と呼ぶに相応しい。