99話~速水走入という女性~
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
実side
「え、えっと…今のは私のユニークスキルの力で…他の人より少しだけ速く走れるんですよね…えへへ」
女生徒は恥ずかしそうに笑う
その姿はチームメンバーの女性陣にも負けず劣らず魅力的で…
その色香に惑わされた男は思わず押し倒し…
[状態異常発動。アフロディーテの寵愛。効果:魅了・誘惑・色香・洗脳etcの精神系状態異常を無効化する。また、所持者に状態異常:女運(inferno)を付与する。]
[状態異常永続発動。女運(inferno)。効果:出会う女性がことごとく一目惚れし面倒くさくなり、病む。この効果は永続であり、無効化されず会う女性全員に適用される。また、女性の感情への共感-10。]
「あれ?あれれれれ?」
「ん?」
急に首を傾げ始めた走入
眼は見開かれ、顔は真っ赤に
そしてトロンとした眼で実の顔を見つめていた
その顔は明らかに恋をしている顔だった
しかし実にはその気持ちがわからない
しかも見れば分かるくらい顔赤いのに気づかねぇ
「おい?急に黙るなよ」
実が肩をつかむ
それは思春期の色ボケ女子にはキツイって…
「ひぁぁぁぁぁ!?」
肩に手が触れた瞬間、猫のように飛び上がる走入
顔から蒸気が沸く
「うぁぁぁぁぁぁ!?」
実も驚き叫ぶ
「おい落ち着け!?」
落ち着かせようと実は両腕をつかむ
しかしやはりそれも逆効果
「ふ、触れ、触れれれれれれれれれっ!?」
このやり取りはあともう少し続いたそうな
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数分後
「落ち着いたか?」
「はい…申し訳ありません…」
ようやく混乱が落ち着き、近くにあった切り株の上に腰を下ろす
(はぁ…疲れた…)
「さて、俺を攫った理由はなんだ?」
実は仕事モードの顔になり、走入に問いかける
「ゆ、誘拐じゃないです!少し手伝ってもらおうと…」
「いやそれで本人の了承無しに連れてきたらそれはもう誘拐だろ…」
「そ、それは…ひゅ~ひゅひゅひゅ~」
「へったくそな口笛だな」
ぐうの音も出ず下手くそな口笛をし始める走入
「それよりも!それよりもですよ実さん!」
「うるさっ!?」
話を切り替えようと急に大声を出し始める走入
そのまま実に詰め寄り、手を握る
「手ぇっ!?」
「こっちの班に男子がいなくて、重いものを運べないんです!助けてください!あわよくばそのまま守ってください!」
「うをぉ…急に早口そんで厚かましい」
「だめ…ですか?」
(うっ…その顔はずるい…)
走入は実を下から覗き込む
下から涙目での上目遣い
それはそれは男性の庇護欲をそそるだろう
[ま、こいつには効かないが(やべぇめちゃくちゃ可愛い)…はぁ?]
残念ながらこれは能力を絡めた動作では無かった
なんなら走入には篭絡しようなんて考えは毛頭無く、普通にお願いしているだけだった
そして実は今までにないお願いされる経験がなく、本人も知らないことだが実はお願いされることに弱かった
その結果何が起こるか
「お願い出来ますか?」
ウルウルとした目に覗き込まれ、思わず言ってしまう
「ワカッタ。タスケ…[目を覚ませたわけ]…ふぐぅ!?」
片言で答えようとした実は[声]によって引き起こされた頭痛で目を覚ます
しかし、時すでに遅し
「助けてくれるんですね!守ってくれるんですね!ありがとうございます!
もうそれは嬉しそうにお辞儀する走入
ぶんぶんと振られる犬の尻尾を幻視するほどだ
「では!私の班のもとに案内します!」
読んで頂きありがとうございます
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では、また次のお話で!
 




