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凡夫よ昏き道を往け 旧題[平凡な探索者によるダンジョン探索]  作者: バラッパー
第一章EEI編

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91/135

91話〜人間性の喪失又は倫理を失った実験の産物〜

こんばんは!

バラッパーです

今回も楽しんでいただければ幸いです

ルーニャside


天井が崩れ、上からセイラ達が降ってくる

ルーニャは光速で動き、それを受け止める


「済まないルーニャ」


「良いわよ。それよりどうしたのあれ!?なんで天井から降ってくるのよ!」


「ああ…それかい…」


「あの女にボコされんだよ隊長」


そう言いながら指を指しているアランの示す方向をみる

そこにはこちらを警戒しているのか完全に敵対している眼差しでこちらを睨んでいる女性が1人


「う゛っ…ううううぅぅぅ…」


「何あれ?」


「さぁ?先程1戦交えたが知性は感じられなかったね」


セイラとルーニャは目の前にいる女を観察する

体にはきらめく装飾類の数々があり、顔にもピアスが沢山つけられている

しかしその美貌は失われていなかった

そして特筆すべきはその獣のように唸りなっている点

まるで本物の獣のようだ


「それは僕たち以外の研究員が進めている実験の被検体のうちの成功例だね」


すると後ろから少し緊張感のない声が聞こえてくる

ルーニャとセイラが後ろをむくとそこには体についた埃を払ったり髪型を整えている冠光粒とその仲間たちが居た


「被検体?」


「そうさ」


「君たちまさか実にも同じようなことを…」


「するわけないだろう?というよりここに転がり込んだのは元々安全を確保する目的だけだ」


セイラの貫くような鋭い睨みにも怯まない冠光粒はそう言い切る


「それで?あれはなんの実験の被害者なの?」


「え!?ルーニャ!?」


「遺物の装備限界を催眠によって超越して最強の探索者を造る…『エオ・クリジェット(身につける人)計画』と言えば良いかな」


「って母様!」


先程まで槍と剣を交えたからなのか、ルーニャと冠光粒は違和感を感じさせないほど自然に会話を始める


「ん?どうしたのセイラ?」


「どうしたんだい猋?」


「いやいや…だって敵だよ?実を奪った奴らだよ?」


「俺らの彼を奪ったんだよ?なんでそんな平然と…」


「今、僕たち以外の第3勢力が現れた…しかも報告書通りなら彼女も…」


「おい?なんだい?何を言おうと…「0…00?」…………あ゛?」


冠猋が何かを言おうとした時、目の前にいる女が声を上げる

その声は困惑していた

しかし、はっきりとその名前を呟く

その瞬間、あんぐりと口を開けたアラン以外の女性陣からとんでもない鋭さの殺気が放たれる


「なるほどね…すまない。先程の言葉をようやく理解したよ。敵だね」


「奴も盟友を狙う…」


「ほう…」


「またか…彼は私のだぞ…」


「はぁ…モテる子供を持つのは苦労するね…」


「あら?()()()の秘書探索者はそれだけ魅力的なのね」


それぞれ違う言葉、しかし同じような反応

そこにいるアランは何を感じただろうか、顔は青く、酷く震えていた


「「「「「ふっ…ふふふふふふ…」」」」」


(こっ…怖ぇぇぇぇぇぇ…)


「う゛…う゛ぅぅぅぅ…あぁああああ!?00000000000000000000000000000ォ!?どこだァ!!」


「セイラ!魔女の箒(ウィッチ・バイク)を!」


「了解!」


「交差!平行!猋!能力解除!」


「「「了解!!」」」


セイラはアランを抱え、飛び上がり、ルーニャも自身の遺物の権能を使い上空に移動する

光粒、猋、交差、平行はそれぞれの能力を解放し、防壁を生成する

その0.1秒後、尋常ではない魔力が放たれる

それは魔力操作の基礎である放出、しかし遺物のオーバーフローを受け、人格の破綻している人物から放たれる魔力は膨大であり禍々しいものだった


「っぐうううう!?」


「あああああ!」


猋と平行は自身の権能を広げ、2人で部屋を分割する壁を作り出す

そして猋は天井を撃ち抜く

その結果天井は更に崩れ、目の前に瓦礫による壁が作られた

銀にきらめく女、実験体541はルーニャや冠光粒の姿を見失った

………………………………………………………………

001side

ドゴォォォォォン!!!


何かが崩れたような爆音が聞こえる

私は治療が終えられ、謹慎室で四肢を拘束されていた

目隠しも付けられ、あるのは聴覚のみ

そのせいなのか少し遠いところで怒っている崩落の音も聞き逃さなかった

そして…ある言葉も聴き逃していなかった


『う゛…う゛ぅぅぅぅ…あぁああああ!?00000000000000000000000000000ォ!?どこだァ!!』


聞き覚えのある声

昔戦わされた…確か548とか568だったような…

まぁいい…しかし001が引っかかっているのは0()0()0()という言葉

今までこのようなことは1度もなかった

昔研究員の愚痴であることを聞いた覚えがあった


『はぁ…あの541ってやつ…000の匂いを嗅がせねぇと動かねぇんだよなぁ…てかこの頃本体じゃないと反応しなくなってきたし…』


思い出した

先程聞こえた声の主、541は000の匂いに反応するらしい

そして記憶が正しければ本体でないと反応…しない…

つまり…それは…


(彼が……………いる?)


その思考が発生した瞬間、体の熱がまた上がる

そして体が脈動を始める


(はぁ…体が…疼く…)


実験No.1『超越の華』計画

その内容は身体検査で取られた000のDNAを他の人間に埋め込み、身体能力を爆発的に上昇させようという計画である

しかし、この計画は科学者の浅はか考えと決定的な欠陥によって白紙に戻されてしまった

その欠陥とは埋め込まれたDNAは対象者の思考を書き換え、好戦的になったり000に執着を見せるなどの副作用が見られたことである

そして対象者同士で殺し合いが起こり、当初の半分にまで減ってしまった

そしてそれを見た科学者は浅はかにも蠱毒に似たようなことを行おうと考え、対象者一人一人に嫉妬心を煽るようなデマを吹き込んだ

その結果、蠱毒自体は成功、001が生き残った

しかし、血を浴びDNAを摂取したことによってより攻撃的に、より000への執着を見せるようになった

そしてその後、実験が継続不可能になるほどの施設へのダメージを与える事件を引き起こした


(体が言ってる…000はこっちにいる…)


いつの間にか拘束は外れ、壁も溶ける

彼女はそれを気にもとめず、そのまま進み続ける

その目は虚ろであり、しかし何かを捉えていた


「待っててぇ…000…今から逢いに行くね…」


また1人、田中実(000)に魅せられ、焼かれ、焦がれた哀れな女が、枷を外され進み出した

読んで頂きありがとうございます

読んだ後に良かった点や気になる点を感想に書いたり、評価してくれると嬉しいです

では、また次のお話で!

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