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凡夫よ昏き道を往け 旧題[平凡な探索者によるダンジョン探索]  作者: バラッパー
第一章EEI編

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83話〜王子と剣姫〜

こんばんは!

バラッパーです

今回も楽しんでいただければ幸いです

エーリside


剣と剣がぶつかり合い、火花が散る

互いにしのぎを削り、体に切り傷を作っていく


「流石は剣姫と称されるだけはある!僕と剣で打ち合える人間が何人いると思う!?」


「そんなのは知らないわよ!!」


互いに鍔迫り合いから跳び退き、互いに体勢を直す


「HAHAHA!!僕ね……君のことは前から知ってたんだよ」


「奇遇ね……あたしも貴女のことは知っていたわ」


「僕と同じで剣を使ってるのに……なんで……君だけ剣姫なんて……」


王子様のように麗しい男装の麗人は剣の切っ先をエーリに向け


「ずっと剣をしてきたのに……貴女とことある事に比べられて……」


幽鬼のように立ち上がった白髪の姫は剣を顔の横に構え、上段から切れるような姿勢になる


「「君(貴女)、邪魔だったんだよ(のよ)!!」」


大地が割れると錯覚が起こるほどの踏み込みを両者が行い、突きと斬撃が衝突する

その後、突きと斬撃は嵐のように飛び交う

突きが壁中に穴を開け、斬撃が部屋に傷を刻む

達人2人による剣撃

それは舞のように美しく、嵐のように激しい


「ヴィクトリア剣術第1式!サーベルストライク!」


恤鬼(じゅっき)式!神威(しんい)裂斬剣(れつざんけん)!!」


2人は自身の修めている剣術を発揮し、打ち合う

星のように煌めく無数の突きを一撃の斬撃によって跳ね返す

そのまま斬り合いへと発展し、また両者牽制を始める


(はぁ……実力は5分……今の手札だけじゃ何も出来ない……)


「ヴィクトリア剣術第3式!!ガーディアン・スラスト!!」


「グッ!?」


あたしが一瞬の思考をした隙をつかれ、左肩に強烈な突きを打ち込まれる

左手に持った剣が床に落ちる

肩から血が溢れ、左手に力が入らなくなる


「殺し合いの中でボーッとしてはいけないじゃないか。今みたいに隙をつかれちゃうよ?」


クツクツと笑いながら姫はエーリの肩を指さす

セイラは肩を抑えながら唸る


(クソっ……血が出すぎてる……頭が回らないわね)


顔は青く、目は虚ろに

そして片膝を着いてしまう


(そういえば……あの時もこんな感じだったっけな……)


セイラは薄れていく意識の中、ある出来事を思い出していた

……………………………………………………………

数年前


(ああもう!まさか最初の探索でこんなことになるなんて!)


あたしはあの時、最初の探索だということで浮かれ、その結果とんでもないミスを犯してしまった

トラップの確認をせず、みすみすと移動トラップに引っかかってしまったのだ


「ギャギャギャッ!!」


後ろからゴブリン共が追いかけてくる

ゴブリン……捕まると女は性奴隷にされてしまう


(あんな奴らに……勝てない……なんで……)


模擬戦では無敗だったのに……

AR(仮想現実)テストだったら満点だったのに……


「あっ!?」


流れていた景色が止まる

顔が地面に擦り付けられ、速度が遅くなる


(やば……)


あたしは転んだのだ

数時間走り続けた弊害なのか足は痙攣し、もう立つこともままならなくなっていた


(動け動け動け!!)


足を叩くが動く気配すらない

後ろからゴブリン共が近づいてくる


(やだやだやだやだやだやだ!!)


あたしはみっともなく涙を流しながら這いずる


「助けて!?助けて!!助けッ!?ぎゃああああ!?」


助けを求めて叫んだ

しかし、左肩に槍が刺さる

人外の膂力に投げられた槍は大地にまで刺さり人体を縫い付ける


「ギッギッギギ」

「ギャギャギャッ!!」

「グッゲゲゲ!」


後ろからゾロゾロとゴブリンが現れる

その目には嘲笑や侮辱の感情がまじまじと見て取れた


(こんな終わりなんて……嫌だ……嫌だよ……)


「た……助け……いや!近づかないで!」


ゴブリン共があたしを囲み、槍を引き抜き手足を持つ

そのままダンジョンの奥へと運ばれそうになる


「誰かー!!誰か助けて!!」


あたしはもがくが人外の膂力によって抑えられる


(ああ……こんなことになるなら……探索者になんて…ならなければ……)


助けを求める声は小さくなり目から涙が落ちる

誰かが助けに来ることを諦めてしまう


(王子様なんて……居ないんだ……)


肩から流れた血の失いすぎにより意識が薄れる

最後に目にしたのは美しい軌道を魅せている何かを振るっている男だった

………………………………………………………………


「ふふふっ」


「ん〜?血の流れ過ぎでおかしくなったかい?」


「いや……少し懐かしいことを思い出してね」


立ち去ろうとしていた姫は立ち止まり、立ち上がったエーリを肩越しに見る

エーリは肩を抑えながらも何か懐かしむようなはにかんだ笑みを浮かべていた

その顔はまるで……


「嫌だな……その顔……まるで恋するお姫様じゃないか」


「ああ……そうだね。君とは違って王子様に見つけてもらったんだよ」


「ああ……アアア!!イラつくなぁ!!何だよその顔!その目!潤んだ雌の目だ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ気持ち悪いそんな目で彼を見ていたのかい?本当にキモイキモイキモイキモイ!!てか剣士なのにもう剣振れないんだろ?早く死ねよ!」


(ハハ……当たり…こいつ…煽り耐性が低すぎる)


姫は途端に口が悪くなり剣を再度抜き放つ


(さて……ここから……だよねミノル……)


エーリは持ち慣れない右手で剣を持つ

目の前の怒髪衝天の姫に剣を向ける

第2ラウンドが始まろうとしていた

読んで頂きありがとうございます

読んだ後に良かった点や気になる点を感想に書いたり、評価してくれると嬉しいです

では、また次のお話で!

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