69話〜軍部〜
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
アンドロメダside
「…………か?」
「…………だね」
(んん……うるさい…)
ワタシは横で聞こえる声で目が覚める
何か……悪い夢を見ていた気がする
ワタシの大切な何かが奪われる夢
「っ……んうう……」
「あっ!教授!ボスが起きたぞ!」
「ホントかい!?ルーニャ!聞こえるかい?僕だ!セイラだ!」
目を開けるとそこにはワタシの顔を覗き込むセイラの可愛い顔が目いっぱいに映っていた
「おはよう……セイラ……」
「ああ……良かったよ…君が病院に運び込まれたと聞いた時は心臓が割れそうだったよ」
「あの慌て方は類を見ねぇなw」
「黙りたまえ」
「っごぉ!?」
ワタシはまだボーッとする頭で隣で行われている漫才のような楽しいじゃれあいを見て微笑む
(何か……忘れてるような……)
「そういえばルーニャ?」
「うん?どうしたのセイラ?」
じゃれあいに勝利したセイラが病室にあった椅子に座りながら話しかけてくる
「君、ミノルの家で倒れていたらしいが……ミノルはどこだい?」
「え?」
一瞬、頭が真っ白になる
居ないことが信じられないのではなく、ワタシが……ワタシが秘書探索者のことを……ミノルのことを忘れていたことに驚き思考が打ち止められたのだ
「アレ……何でワタシ……ミノルのこと……忘れてたんだろ……」
「やはり君もかい……」
「君も?」
セイラはワタシの困惑した様子に戸惑いを見せずあまつさえ君もと言った
つまり……
「僕も病室に来る少し前までミノル……田中実の存在自体を忘れていたんだよ」
「は?」
知の象徴とも言える賢き友人の言葉に驚愕が隠せない
セイラ・マスクと言えばカメラアイと人間と一線を画している頭脳を持っている彼女の記憶からの抹消
これは並大抵の遺物やスキル、魔術では成し得ないことである
つまり……
「今回のミノルの誘拐……軍部が1枚噛んでるんじゃないか」
軍部……エデンを統治している武力組織
上級以上の探索者で構成されており、特に上層部の彼女達は特級探索者でも指折りの実力を持っている
「でも……何で軍部が……」
そう……軍部はあくまでもエデンでの治安組織であり、今ワタシ達が居るのは日本で奴らの権力は及ばないはずである
「…………1つ……」
セイラが思い詰めたような顔でボソリと呟く
「1つ……軍部が干渉してくる建前がある」
セイラはそう言うと持ってきていた肩掛けバックからファイルを1つ出し、渡してきた
「なにこれ」
「まぁ、中身を見てくれ」
セイラが言うままワタシは手元の資料をめくる
「これは……」
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主人公side
バイタル安定……脳波安定……心拍数安定……
意識回復……
「ッうぅ……」
俺は最悪の目覚めを迎える
なんか椅子に座ってるし硬ぇし身動き取れねぇし
バッ!!!
「ウグッ!?」
俺がまだウトウトしていると前方からライトを照らされ、あまりの眩しさに呻く
〈田中実……初めましてかな〉
スピーカーからの声なのか少しくもぐった声が響く
「……誰だお前…」
俺はどこにいるか分からない相手を睨みながら聞く
〈そう睨まないでくれよ。私もか弱い女の子なんだ。泣いてしまうよ?〉
スピーカーの声はふざけたような言葉を投げかけてくる
(何もんだこいつ……)
俺はスピーカーの向こうにいるやつに意識を向ける
〈今、私が何者だって思ったね?〉
スピーカーの声は俺の思考を読み取ったかのように言葉を紡ぎ始める
〈やっとだよ……やっと君を取り返せたんだ……〉
「何を言って……」
スピーカーの声が妙なことを口走る
〈私の……僕の実験体000……やっと!ああ!やっと取り戻せたんだ!〉
全面の壁はどうやらシャッターだったようで少しずつ壁が上がっていく
〈久しぶりだね!僕の愛しい子供!実験体000!また一緒に暮らそうね!〉
シャッターが上がり、そこにはボサボサの黒い髪にギョロッとした目でこちらを凝視しているダウナー系な見た目の女性がいた
〈ああ!久しぶりだね!体は問題なさそうだね……大丈夫だよ!もう昔みたいに迫害されることもないよ!だって今僕は軍部でも幹部なんだ!生活の心配はいらない!〉
目の前の女は訳分からんことをほざいていた
〈ああ!可愛いねぇ……本当に可愛い!その何も分かって無さそうな顔も!未知の状況に置かれている時に垂れる汗も!〉
扉が開き、女が入ってくる
そのまま俺のもとまで近づき、そのまま俺の顔を弄ってくる
「もう大丈夫だよ……僕が……私が近くにいるからね……ほら、またお母さんって呼んでよ。」
女は俺に馬乗りになり、そう語りかけてくる
「ほら、早く……」
女は俺の頬をさすり、耳元でそう囁いてくる
その問いかけに俺は……
「いやお前誰だよ知らねぇし触んな気持ち悪い」
「へ?」
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では、また次のお話で!
 




