66話〜違和感〜
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
数週間後
「今日で退院ですね。お大事に」
「ありがとうございます」
俺はEEI私有地内の病院を退院し、病院から出る
「退院おめでとう!ミノル!」
病院から出た瞬間に金髪が視界に飛び込んでくる
アンドロメダだろう胸に顔をグリグリ押し付けてくる
「ありがとうアンドロイメダ」
俺はアンドロメダの肩を押し、体から離す
「アッ…」
アンドロメダは物足りないような顔をしていたが、田中はそれに気づかずに歩き出す
「他の奴らは?」
田中の退院を迎えに来たのはアンドロメダだけであり、他のパーティーメンバーやクラスメイトの姿が見えない
「あら?聞いてないの?今日は坂田クンに真実の目を使用する日なのよ?」
「マジ!?てかなんで俺呼ばれてねぇんだよ」
そう、俺と坂田の模擬戦で互いにかけた条件……坂田は過去の開示、俺はEEIと秘書探索者を辞めることであり、俺が勝利したため坂田は過去を開示することになったのだ
しかし、坂田の悪あがきによる俺の負傷や聖遺物の暴走などで有耶無耶になっていたが、遂に実施されるようだ
「アナタは見ない方がいいって何故か協会からのお達しよ」
「協会?」
「しかも上層部。多分坂田クンのお父様でしょうね」
「あいつ……いつまでもパパ頼りかよ……」
「本来なら過去の開示すら協会からやめろって脅されてたらしいのよ?まぁ、見られたくないことがあるんでしょうね」
協会はいつもそうだ……
平等を謳って起きながらもその平等は上層部が上であることを前提とした平等なためにいつも弱者が割を食う
今回も事実を隠し通そうとしたが、逆に必死になり過ぎて疑われたから俺以外で見ることを条件にしたのだろう
「まぁ、大丈夫よ。セイラもエーリもアランも見るって言ってたっしね」
「まぁ、そうだな」
「じゃあ!そんなことは今は忘れてデートしましょ!デート!」
「デートって……」
「決まり!行きましょ?」
「ってうおぃ!!」
アンドロメダは急にデートと言い出すと俺の手を引き走り出した
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セイラside
「セイラ・マスク様、入場許可証を確認しました。後ろのお2人は同伴ですか?」
「ああ。友人だ」
「ども」
「…………ふんっ」
「分かりました。では、こちらへどうぞ」
私は厳重な検査を通り抜け、真実の目の使用が行われる音楽ホールへと向かう
「はぁ、てかなんでこんな厳重なんだよ……」
「あのクズには上層部以外に見られたくないことが山盛りってことね……ふんっ!くだらないわ!!」
アランとエーリは今回のイベントの警戒の厳重さにぶつくさ文句を言っている
(まぁ、確かに妙だな……)
何故か干渉してきた協会……
EEIとは協会主導の元創立されたため、どうしても協会からの指示には首を縦に振らざるを得ない
まぁ、特級探索者である我々3人がどうにかこうにか中止を防いたが、その代わりダンジョン探索大臣である坂田の父の息がかかったものだけが見れるようになってしまった
(我々は何とかくい込んだが……)
今、EEIの上層部では田中実の退学案が進められており、理由は坂田トキワの腕を折った責任追及のためと言われている
(下らない)
私はこのような体制が1番嫌いだった
金や権力のある人物が関係者を守るために弱者をスケープゴートにする……
これは自身の大切にしているノブレス・オブリージュに反しており、唾棄するべきものだった
考え込んでいる時、曲がり角から出てきた人影に気づかなかった
「キャッ!?」
「おっとすまない」
私はぶつかってしまい倒れている人に手を差し伸べる
「ああ……すみません」
「こちらこそすみません……少し考え事をしていたので気づきませんでした」
相手は紫色の髪と赤色の目を持つ僕より少し小さい身長の女性だった
「こちらこそ急いでて前を見てませんでしたわ」
彼女はそう言うと服を払い、僕に向き合った
「では、これで。平凡なる探索者によろしくとお伝え下さい」
彼女は僕たちに一礼をし、そのまま去っていった
「綺麗な人だったな」
「ええ……まるで人形みたいだったわ」
アランとエーリは先程の女性に美しさに心ここにあらずな様子だった
しかし、僕はそれどころでは無かった
(今、彼女はなんて言っていた?……平凡なる探索者か……十中八九ミノルのことだろうね)
彼は彼女と面識があるのだろうか……
心の中で醜いモノが蠢く
(これじゃダメだ……今はそれよりも過去の開示の方だ……これは必ず証拠として抑えなければいけない……)
私は胸ポケットに挿してある小型カメラ入りボールペンを撫で、会場へ進んだ
読んで頂きありがとうございます
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では、また次のお話で!




