63話〜氷河期〜
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
(眩しい……)
俺は人生で何度も経験することのないだろう白い天井が見える場所で目を覚ます
「あ……ああ、病院か……」
(ホントに何回目だろ……この言葉……)
「おい!目が覚めたのかミノル!?」
「マジか!俺、2人呼んでくるわ!」
俺が目を開けると隣にはマスクとアランが居り、俺が目を覚ましたのを知ると心底安心したような顔をしていた
アランがドタバタと走っていった後、マスクは俺の隣に座り、話しかけてきた
「全く……大丈夫かい?心配をかけさせるんじゃないよ」
「すまん……お前らは大丈夫だったか?」
「別に問題ないさ。自分より人の心配かい?」
「まぁな……あん時、永田を仕留めきれて無かったから」
「ああ……そのことだけどね……」
マスクはなにか気まずいような顔をしながら言い淀んでいた
「ん?なんかあったのか?」
「まぁ、少し話そうか。君が気絶したすぐあとの話だ」
………………………………………………………………
実気絶後
「ミノル!?ねぇ返事してよミノル!!」
アンドロメダはミノルが気絶すると取り乱して狂乱す
る
「ルーニャ!落ち着け!ミノルは気絶しただけだ!」
マスクが青い顔しながらもアンドロメダを落ち着かせる
「嘘ぉ……嘘でしょミノルゥ……」
エーリは絶望に打ちひしがれ、今にも自殺しそうなほど悲惨な顔をしていた
「だから死んでないって!」
アランも2人を落ち着かせようとするが、メンタルがヘラっている2人には届かない
「アラン!早く落ち着かせるんだ!」
「今やってる!」
しかし、2人が田中から目を離した隙に、そいつは動いた
「待てっ!」
1番早く気づいたのは那珂川
田中にトドメを刺そうとしていた永田に向けて走り出す
しかし、審判として田中の反対側に立っていたために遠い
「ハハハッ!殺してやる!」
永田が腕に冷気を纏わせて田中を凍死させようとする
「っ!」
「くそっ!」
マスクとアランの2人も走り出すが止めれない
「やめて!」
アンドロメダは聖遺物を発動させる
その太陽を身に堕とす聖遺物もEEI校内にある聖遺物停止装置に引っかかる
「なんで!?」
他の生徒も止めようとするが、どうにも出来なかった
「死ねぇ!」
皆が目を背ける
田中のチームメイトは目を逸らす
しかし、その冷気は逆に永田を蝕んでいた
「「「え?」」」
「っ!?ぎゃあああああああ!!」
永田は余程冷たかったのか赤ん坊のように喚く
凍りついた手に気を使わずに暴れるとどうなるか
決まっている
ボキッ
「あ……」
凍った腕は割れ、永田は肩から先が無くなっていた
「あっ……なんで……俺の……うでぇぇぇぇ」
永田はいっそう泣き叫び、のたうち回る
「これは……どういうことだ……聖遺物の……暴……走?」
「教授!んな事どうでもいいよ!それよりもミノル見ねぇと!」
「すまない!すぐ行こう!」
アランとマスクはすぐさま田中のもとへと急ぐ
「ミノル!大丈……夫……か……」
アランはマスクよりも先に着き、あるものを見て固まる
「アラン!何をしている!直ぐにミノルの治療……を……」
「賢者」とも呼ばれる賢き彼女も、田中を見て固まる
そこには、田中を膝枕している少女が居たのだ
見た目は白い髪に白い肌、触れたら消えそうな儚い雰囲気を纏っていた
「…………何を見ているの?今は夫婦の営み中なんだけど」
その少女は鋭い目を向けながらそう行ってきた
「ご、ごめんね?」
アランはさも当然のように言う少女の圧に押され、どもりながらも謝る
しかし、恋する賢き少女はその圧に真っ向から反抗した
「は?夫婦?は?」
「何?アンタ?ミノルの何よ」
「君こそなんだね」
空気が冷え、少女の視線が鋭くなる
しかし、賢者たる少女も引かずに問いかける
「私はミノルの聖遺物」
「聖遺物?彼は聖遺物所持者ではなかったはずだが」
「ああ、それは腕が折れたクズがミノルから聖遺物を奪ったの」
聖遺物を名乗る少女はそう言うと痛みで気絶してしまった永田を殺意のこもった目で睨んでいた
「まぁ、その話は後で聞かせてもらおうか……今は彼を保健室に運ばないと」
「まぁ、わかった」
…………………………………………………………………
「と、いうことがあったんだよ」
「なんか区切り方雑じゃね?」
喋るのが面倒くさくなったのか途中からマスクは俺の足の上でグダーっとなりながら雑に説明を打ち切った
「まぁまぁ良いじゃないか」
「はぁ……んで、今俺のベットに潜り込んでいるこいつか?その聖遺物を名乗ってるやつは」
「ん?」
俺はそう言うと布団を剥がす
そこには俺の足に抱きついている白い少女がいた
「はぁ!?なんでいるの!」
マスクは急に体を起こすと反対側に回り、白い少女を引き剥がそうとする
「ほら!僕のミノルから離れたまえ!」
「ん〜……いやなの〜」
マスクは鬼のような形相で白い少女を引き剥がした
「おはよう……ミノル♡」
「お、おはよう」
白い少女は寝ぼけ眼ながらも俺の方を向きながらそう言う
「さて、君の話を聞かせて貰おうかね」
マスクは俺に抱きつこうとした白い少女を羽交い締めにしながら問いかける
「ヤダ」
しかし白い少女は嫌な顔をしながら顔をプイッと背ける
「……」
マスクは俺に視線を送ってくる
「はぁ……なぁ?お前のことを教えてくれないか?」
「うん!」
俺が聞くと白い少女は目を輝かせながら喋り始めた
「私は聖遺物。」
「聖遺物?人の形をしてるのにか?」
「そう」
どうやら少女は本当に聖遺物らしく近くに置いてあった水入りコップを凍らせてしまった
「っ!!」
「ミノル!?大丈夫かい?」
頭が痛む……なにか忘れているような……
「ミノル、直ぐに思い出すよ」
白い少女は知っているのか、全てを見通すような透き通った目をしていた
そして、少女は告げた
「私は氷河期を司る聖遺物。あなたが倒した魔物種の報酬であるアポカリプス級の聖遺物だよ」
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では、また次のお話で!




