141話~氷河期VS炎~
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
実side
⁅死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!⁆
ニーベルンゲンが手を振るだけで周囲が空間ごと凍る
実はセネカを腋に抱え、跳びあがる
いた場所も凍り、出来た正六面体の氷に着地する
「ありがとうございます主様…すみません。私が守らなければいけないのに…」
「いや良い。あんなの初見じゃ反応できなくて当たり前だ」
(俺もあの環境じゃなければ死んでるだろうしな)
「主様!」
「ッ!?」
次に行った攻撃は氷塊の雨
1つ1つが人間サイズであり、当たったらまず助からないだろう
「神よ!私の全てを捧げます!「凡なる主」!」
暖かいドームが実とセネカを包む
そのドームにぶつかった氷塊は速度が遅くなり、少ししたら溶けてしまった
「ナイスセネカ!」
「はいいいいい!?ほッ!ほめッ!?」
「炎魔法:ウルカヌス!」
炎の巨人が顕現し、辺り一帯の氷を解かす
「臨兵闘者皆陣烈在前・焔!救急如律令!」
追加で陰陽術・炎舞を発動
ニーベルンゲンにウルカヌスと一緒に放つ
⁅あああ!?炎!?⁆
体が少し溶ける
しかしすぐに吹雪が吹き始め、ウルカヌスと炎舞はかき消される
「クソっ!」
⁅今度はこちらが使わせてもらうぞ!⁆
ニーベルンゲンが杖を掲げる
その杖の先に嵌められている宝玉が光を放ち始める
「あれは…セネカ!」
「はいッ!」
実に合わせてセネカが光の剣を振るう
しかし、ニーベルンゲンを守るように吹いている吹雪に阻まれる
⁅龍を殺し、富を得た英雄⁆
「主様!これは!?」
「魔術の上位互換の魔法だ!そのなかでも発動したらマズイ!」
⁅弱きを突かれ、裏切られ、命を落とす⁆
ニーベルンゲンの詠唱は着々と進んでいき、魔力も高まっていく
頭上に魔法陣が形作られていく
⁅愛した人、復讐の道を歩む⁆
⁅その道は数多の命を轢き潰す⁆
「炎魔法:ヘスティアぁぁぁぁぁ!」
「神の裁きを!」
実もセネカも止めようとするが、届かない
荒れ狂う魔力と猛吹雪によって弾かれる
⁅終には自身の命をも食らい!復讐の道は幕を閉じた!⁆
魔力が臨界点に達し、おぞましいほどの荒ぶる魔力が顕現する
そして、音が消える
先ほどまで荒ぶっていた魔力も吹雪も消えた
ここが攻め時であれば2人は迅速に突貫していただろう
しかし、2人は互いを守りながら撤退という道を選んだ
セネカが遺物を使用し、実が壁を作る
防衛本能に従った最速の行動
その行動は正しかったと言えるだろう
⁅悍ましき復讐!⁆
頭上の魔法陣が煌めき、魔法が放たれる
その魔法の奔流は地上にあるモノすべてを薙ぎ払い、呑み込んでいく
⁅ハハハハハ!⁆
その場に残っていたのはニーベルンゲンの笑い声だけだった
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ルーニャside
「怪物種…駆除完了…当該地区に反応なし。次の地区に向かいます」
無線機に向かって機械的に報告し、また歩き出す
「セイラ?次の地区は?」
「次は新宿だ…」
「シンジュク…懐かしいわね」
何かが脳裏にチラつく
懐かしいはずなのに、愛おしい記憶のはずなのに何故か思い出せない
もう目からは何も零れ落ちない
あるのは真っ暗な光
「なぁ…ルーニャ…流石にこの頻度での聖遺物の使用は君の精神が…」
「何言ってるのセイラ?今のアタシが不安定に見える?」
「それは…」
実際、聖遺物使用時に用いられる精神評価シートの欄に当てはまる異常はルーニャには見られない
だからこそセイラもなにも言えなかった
「ねぇアナタ…小糸まりだったかしら?このまま前線を押し上げるの手伝ってくれる?」
「ハハハ!血ィ!血はどこだ!」
そのままどこかに走り去っていく小糸
少しすると遠くでまた土煙と爆発が起きる
「彼女は意外に使えるわね…カレが選んだから当然だけどね…ん?」
ルーニャは何か怪訝な表情を浮かべ、首を傾げる
「カレって誰かしら?」
「まぁ…良いか…世界は初所詮こんなチッポケなんだし」
「ルーニャ…」
戦場に向かう
その背中は明るい光を放つ恒星にも、何かに背中を押され続ける子供のように見えた
概念種:ニーベルンゲン
数年前、他の二体の概念種と共に屠られた
自身を封印し、本来の氷河期の概念(以降仮名:シロ)を表に出させることで力を貯蓄、セイアの負の感情に目をつけ装備させる。極限まで高まった負の感情を糧とし、復活
シロの氷河期の力も吸収し、更に強力な概念となった
「悍ましき復讐」
長い詠唱と果てしない魔力を消費する代わりに高い攻撃力・広範囲の攻撃・自身への不死身の付与などが発動する
その物語は後世に語りつがれた。その物語に潜んでいる想いを知らずに




