139話〜凍てつく心〜
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
セイアside
「早く逃げなさい!」
自身の魔術を発動させ、敵を凍らせる
雪のエリアを作り、敵を遅らせる
その間に後ろにいる一般人を避難させる
ここには軍人は呼ばれなかったのか一般人しかおらずセイア一人で敵を倒さなければならなかった
「特殊魔術:連れ去る吹雪!閉ざした氷!」
特殊魔術…選ばれた者に与えられる魔術を行使する
その吹雪と氷は攻め入ってくる怪物を薙ぎ払う
「あぁぁぁぁあ!死ねぇぇぇぇぇぇ!」
ただひたすらに殺していく
氷が体を突き刺し、血を浴びる
雪のように美しい白髪が血で赤く染められていく
「はぁ…はぁ…」
数万の怪物を殺し終え、膝に手を付きながら息を整える
ガサッ
「誰!」
氷を手に纏い、剣のようにして音のなった方に向ける
「ヒィッ!?」
「ちょっ!?俺ら一般人!」
ビルの残骸の影から現れたのはスマホを構えている2人組
片方は手を挙げて降参のようなポーズを撮っているが、もう1人は未だにスマホを向けていた
「何してるの…早く逃げなさい」
「いや…これは撮れ高っしょ…」
「そ、それな…」
セイアが忠告するも逃げようとしない2人
そのスマホからは何か機会の声が聞こえていた
【なにこれ…CG?】
【いや…マジらしい…】
【怖…】
【てか血まみれすぎでしょ…】
【さっき睨まれた時チビりかけたもん】
【俺はチビった】
【てかどっちが化け物か分からねぇな】
【一個人が持っていい武力じゃないよね…】
【やっぱ監視するべきなんじゃ…】
【化け物】
化け物
バケモノ
その言葉が何故か深く響く
他の言葉が聞こえなくなり、この場から逃げ出したくなる
そのまま足早にこの場を去ろうとする
「ちょっ!どこ行くんすか!」
「良ければこのまま独占配信を!」
「黙れ!」
後ろから着いてこようとする2人組に向けて冷気を放つ
「っ!!ごめんなさ…「あぁぁぁぁ!?殺されるぅ!!」……あぁ」
【ヤバくね!?】
【探索者が一般人を攻撃してんじゃねぇか!】
【やべぇって!】
【通報!早く通報しなきゃ!】
凍った手に握られたスマホはセイアを写し続ける
発されるコメントがセイアの心に深く突き刺さっていく
「っ!!」
【あ!逃げた!】
【助けろよ】
【人殺しじゃね?】
【てか今の氷ってさ…特級探索者のセイアってやつじゃね?】
【見つけたわ。イヴァン・イヴァノブナ・セイアってやつか?】
インターネットは即座に個人情報を突き止めてくる
それは迅速に広がっていく
セイアは聞こえる悪意の声に耐えられず、逃げ出した
……………………………………………………………
実side
「はぁ…なんだよここ…氷像だらけだ…」
実とセネカは氷漬けになった東京を歩く
そこは怪物の氷像で溢れていた
「怪物種がこんなに…出来るとしたらセイアさんくらいでしょうね。でも…これは…」
セネカが見回すビルの残骸
そこには氷漬けや串刺しにされた怪物種だけではなく、明らかに逃げ惑う人が凍らされていた
他にもビルの下敷きになっている人を引っ張っている人、パイプなどを持ち立ち向かっている人。そしてなにかに怯えるように尻もちをついている人
「セイアさんが?」
「信じたくはないですが…状況的に…」
「まぁ…先に進もう」
銀景色
そう呼ぶにふさわしい光景の中進んでいく
だんだん冷気が強くなり、吐く息も白くなる
そして猛吹雪が荒れ狂う中にセイアは座り込んでいた
「………誰?」
「セイアさん田中です」
「タナカ…ミノル…」
セイアはヨロヨロと立ち上がり、実の方へと歩き出す
1歩進む度に地面が凍り、吹雪が強くなる
「セイア!止まれ!」
その雰囲気に危機感を感じたのか実の前に立ち、セイアを睨む
「ねぇ?なんで私をそんな目で見るの?アナタたちも…アナタたちも私を、、、わっわたしをぉ…化け物って言うの!?」
セイアが叫んだ瞬間、雹が降り始める
吹雪と合わさって雹が高速で飛んでくる
セイアは頭を抱え、発狂する
「ワタシは!わたしは化け物じゃない!いや!置いてかないで!いやよ!独りぼっちはいやなの!」
体に氷が纏わり、段々宙に浮き始めるセイア
吹雪は一層強くなり、実たちは更に外側に吹き飛ばされる
「ぐうッ!?」
「クソッ!」
どちらも探索者
吹き飛ばされたことによる負傷は無かった
しかし、顔を上げた瞬間、体が凍り付いた
[条件:「氷河期の聲」をイヴァン・イヴァノブナ・セイアが身に着けている。アストラ・セネカの遺物が「凡なる主」に進化している。田中実がEx.スキルに目覚めている。………条件達成]
[特殊イベント:概念種「氷河期の概念:ニーベルンゲン」を討伐するが発生]
[クエスト……強制開始]
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では、また次のお話で!




