138話〜新たな主〜
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
実side
「なぁ?もう傷大丈夫なのか?」
「ええ。遺物の効きも良くなってきたわ」
先程までは無かった右腕を触り、拳を握ったりして確認するセネカ
実はその様子を眺め、ある疑問をこぼす
「なぁ、あんたの遺物ってほんとに遺物か?」
「何が言いたいの?」
「いや…流石に欠損した腕を治すのは遺物の範疇を超えてないかなと思ってな」
少しの沈黙
その後、セネカはワイシャツの第一ボタンを外し、ネックレスを取り出す
「これが「血の磔」よ…この遺物は少しピーキーなのよ」
「ピーキー?」
「ええ…使用条件は神への信心。効果は神への祈りの深さによって変動するの」
「じゃあさっきは神なんていないなんて思ってたのか?」
「な!なんてこと言うのよ!そ、そそそんなわけないじゃない!だ、だいたい証拠はあんの!?証拠は!」
「その狼狽えぶりが証拠になっている気がするけど…まぁ、真面目なこと言うとさっきまで力が出てねぇみたいだったからな」
「それは…その…」
何故か言いよどむセネカ
その顔は赤く、視線も右往左往していた
(ああなんか言いずらいのかな)
[部分的にそう]
(なんかルーニャとかエーリもこんな顔するときあるしな…)
(あんま触れない方がいいか!)
「ねぇ…なんか言いなさいよ…」
実が頭の中で自己完結しているとセネカがいつのまにか肌が触れ合いそうになるほどまで近づいていた
目は潤み、頬は変わらず赤い
「いや…やっぱ聞かなくて「私…アンタのこと嫌いだった」…へ?」
急なカミングアウトに開いた口が塞がらない実
セネカはお構い無しに続ける
「あの人の…ルーニャ・アンドロメダの秘書探索者に選ばれたって」
(ああそういう事ね…)
「なんでお前が…なんで私じゃないの?ってずっと思ってた」
「そうか」
実はこの手の話には慣れていた
ルーニャ・アンドロメダの秘書探索者になった日、どこから漏れたか知らないがすぐさま世間に知れ渡り、実は多くの悪意を受けた
だからこそ慣れていた
目の前のこいつもそういう類の人間だろうと思っていた
「でも…今は違う」
しかし、頬はさらに紅潮し、目は危うい何かを孕んでいく
「私は間違っていた…」
「うん」
「憎むなんてありえなかった」
「うんうん」
「ああ…産まれてきてくれてありがとうございます…我が主よ…」
「!?」
急に跪き、手を合わせ祈り始めたセネカ
その様子に戸惑う実
「私の全てはあなたのために…私の全てを捧げます」
[イベント:新たな主をクリアしました]
[声]がまた囁き始める
[遺物:「血の磔」が「凡なる主」に進化……成功]
(進化?遺物の?)
[声]は遺物の進化を告げる
進化?そんな事が有り得るのか
実の頭の中には色々な考えが交差し、いつか思考を放棄した
「主よ…私は…永遠にあなたのそばに…」
[アストラ・セネカの好感度が上昇…1000000/100……程度:狂信・盲信]
セネカと[声]の声をBGMに実は壊れた東京を進んで行った
読んで頂きありがとうございます
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では、また次のお話で!




