135話~パーティーナイト~
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
実side
「あ゛あああああああ!」
「うるせぇ」
痛いほどに腕を握ってくるアスモデウスを投げ飛ばす
先ほどまで感じていた右腕の異物感や体を苦しめる痛みは無くなり、逆に精神を昂らせる全能感が全身を巡っていた
「ははは!こりゃあ良い」
口角が上がる
力に酔ったのか顔が愉悦に歪む
その顔は明らかに悪に…
「いやいや…今の顔完全に悪人だろ…そーいうやつはだいたい力暴走して死ぬからな…気をつけよ…」
…なんなんだよこいつ
まぁ、気を取り直そう
力に呑まれず、理性を保つ実はアスモデウスを投げ飛ばした方向を向く
「が…ああ…」
壁から抜け出し、また実の方向へと動き出していた
その顔は未だに敵意に満ちていた
「はぁ…今の一撃で落ちてくれてら助かるんだけどなぁ…なぁ?」
「………」
「聞く耳も無ければ、言う頭もねぇか」
[早くしろ。お前が力を持ったとしても時間切れは近づいている]
「そりゃそうか。なら、一撃で終わらせる」
実は拳を握る
その拳に周りから集まってきた歯車や針金などが集まり、拳の前で展開されていく
さらに、魔力は腕に刻み込まれるように広がり、どこからか現れたガントレットが腕には装着される
「ッ!?がァァァァァァァ!」
何かを察知したアスモデウスは駆け出す
やろうとしている何かは自身の命を終わらせるになりうる一撃だと感じたのだろう
僭主として強化された権能の1つを最大限に発揮する
「刹那の快楽」
他人に快楽を与えた時、精神が屈した者から魔力を奪い、貯めるユニークスキル
本来ならサキュバスという種族らしく食事のためのスキルだったが、僭主としてのユニークスキルとしては力がかなり違っていた
貯めるだけではなくそれをコストとして強制的に強大な魔法を使う力
この力を最大にし、アスモデウスは実を消し飛ばそうとしていた
「あ゛あ゛あああ!き゛え゛ろ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」
数多の人間から奪ってきた魔力を全て消費する
魔力をチャージして放つ訳ではなく、生贄として捧げて魔法を召還する
そのため魔力の臨界点は瞬く間に超え、実へと放たれた
全てを消し去る魔法
虚空魔法:ウーラノス
まるで光も消されたようなどす黒い球体
それが実に向かって突き進んでいく
「ははッ…上等じゃねぇか」
それに対し、実は右手を後ろに引き、胸が右膝につきそうなくらい体勢を低くする
「すぅ〜はぁ〜」
呼吸を整える
体に流れ魔力を感じ、鼓動と魔力の脈動を合わせる
鼓動の爆発に合わせ、足に貯めた力を解放する
風景が線のようになり、視界にはアスモデウスしか映らなくなる
魔法は突き破られた
手は貫手
そのままアスモデウスに接近し、直前で止まる
「あ゛?」
備えていた衝撃が来ず、混乱するアスモデウス
しかし、貫手を拳に変え、アスモデウスの胸元に当てる
「ガハッ!?」
それだけで血を吐き、吹き飛ぶアスモデウス
発勁
その動作に心臓の鼓動と魔力の脈動のインパクトを合わせ、展開した歯車や針金と一緒に吹き飛ばしたのだ
「あ…がっ…」
壁から剥がれ、崩れ落ちる
アスモデウスがいるはずの場所には2人の女性が倒れていた
実は沈黙を確認し、[声]に問いかける
「さて…次はどこ行きゃ良い?」
[敗北イベント→バカイベント]
[楽しい夜…進行10%]
[次は地上へ向かえ]
「了解」
次の瞬間には実は消えていた
あるのは空が見える穴
ダンジョンは人を閉じ込め、絶望の劇を上演する役目を失い、ただバカのパーティー会場へと成り下がった
読んで頂きありがとうございます
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では、また次のお話で!




