131話〜[お前は終わりだ]〜
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
実side
今、何をされているのだろう
ひたすらに叩き潰されている
そうだ思い出した
あの時、心臓を刺されて引きずり込まれたんだ
そして今、アスモデウスに体を叩き潰されている
「あ゛ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
ようやく終わったのかアスモデウスは振り上げる手を止める
後ろに少し後ずさる
「あ゛!?ああ!!ああああああああぁぁぁ!?」
頭を抑え、うずくまる
[僭主の力に精神が耐えられていない]
[声]がヒントを告げる
しかし、それを聞いても実は何も出来ない
足は潰れ、腕は裂けていた
呼吸も浅く、血は大量に溢れていた
「あぁぁぁぁ!?」
そしてまた蹴り飛ばされる
面白いくらい軽く吹き飛ばされ、壁に激突する
「ガハッ!?」
口から大量の血が出る
その空間はもう実の血で塗りつぶされていた
[ 血が出すぎている]
[声]が聞いても居ないことを言ってくる
[輸血、または医療キットなどでの回復が必要だ]
(分かり切ってること言うなよ…)
貧血気味なのか頭が回らなくなる
しかし、少しすると視界がハッキリとする
[パッシブスキル:「大君の寵愛の発動が確認…生存のみを許可…血が補充を実行]
頭が冴える
[声]が妙なことを言っていたがそれどころでは無かった
[声]が言った次の言葉が衝撃を上塗りしたからだった
[ここで死んだ場合、地上にいる探索者、一般人が人を残して全滅する]
(は?)
[ほら起きろ…さもないと命だけではなく全てを喪うことになるぞ]
[声]は容赦なく急かしてくる
しかし、体は動かない
[セイラ・マスクは武装を全て破壊され、全てを踏みにじられた後に体を奪われるだろう]
その言葉は壊れた兵器の山に囲われ、歪な笑いを浮かべている光景を思い浮かばせる
[アラン・ヤベツは真正面から突き破られ、悲惨な最後を迎えるだろう]
次はアランがなにかに刺され、四肢をもぎ取られている様子が
[エーリ・ナントは自身の血に呑まれ、人を殺し、最後は悲壮に苛まれながら自害するだろう]
亡骸に囲まれ、血を被った女性が自身の首に刀を当てている様子
[冠光粒は…]
「やめろ…」
[冠猋は…]
「黙れ…」
[風凪チオリは…]
「やめてくれ…」
[濱上渚は…]
「頼むから…やめてくれよ…」
淡々と告げられる知り合いの末路
いくら懇願しても止むことは無い
そして最後、ある人物の末路が語られた
[ルーニャ・アンドロメダの最後は完成だ]
先程までの簡潔かつ冷淡な語り方ではなく、まるで英雄譚を眺める子供のように熱心に語り出す
[ルーニャ・アンドロメダは1人孤独になるが魔物を全て掃討する。しかし、孤独になった英雄はまた天に昇るだろう。そして世界は光によって尽くが照らされ、安寧を取り戻すだろう。さあ?ハッピーエンドだ!とはなるまい。人間とは元来生態系から外れた生物だ。強き者が弱き者を支配することもあるだろう。しかし、心優しい英雄が支配などするだろうか?否、しない。だが、人類は愚かだ…いつか自分たちに鉾が向けられるのではないかと考えるだろう。ああ哀れな恒星よ!その光は人を惹きつけ、魅了するのに最後は恐れさせるのか!その光の中には何が積み重なっている!?哀れで孤独な子供か!?それとも全てを切り捨てた復讐者か!?それとも愛に狂い恋を奪った女か!?ああ憎たらしい羨ましい妬ましい!その魂はなぜそこまでの執着を抱く!何故貴様だけ許されるのだ!何故貴様だけが変わらない!?]
先程までの平らな声とは違い、何か私怨を感じる[声]
そして[声]はだんだん頭から離れていく
[だいたい…な!……よ、なら…だろ?]
[声]がだんだん小さくなっていく
死の間際だからなのか、それとも意識が落ちかけているのか
しかし、その[声]は後ろから聞こえ始める
[なぁ?無様なものだよ我が共犯よ]
そこに居たのは右腕のない、顔がガラクタが刺さった女だった
読んで頂きありがとうございます
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では、また次のお話で!




