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凡夫よ昏き道を往け 旧題[平凡な探索者によるダンジョン探索]  作者: バラッパー
第一章EEI編

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120/137

120話~騙し突き通して~

こんばんは!

バラッパーです

今回も楽しんでいただければ幸いです

ルーラーside


(奇術ねぇ…騙し、世界を犯すユニークスキル…いや…継承スキルか…)


英雄の子孫たちは先祖代々「継承スキル」を受け継いできており、後継ぎは「継承スキル」の有無で決められる

そして「継承スキル」とは先祖の記憶とステータスも継承しており、継承された瞬間に使い方などが手に取るようにわかり、必要な身体能力にも無理なく到達するのだ


(これは探索者界隈では有名…だから対策は練れる)


「継承スキル」の使い手のデメリットは2つある

1つは周りに対策がバレているということ

数百年に渡って表世界で活躍している能力のため、ある程度は手札が知られているのだ


(まぁ、数億以上ある組み合わせから見抜くなんて…不可能に近いけどねぇ…)


そう…「継承スキル」の使い手達はデメリットを帳消しするためにある方法を思いついたのである

それは継承の強みを生かした既存の技と新規の技の組み合わせによって手札を無限に増やしていくのだ

これは誇張抜きで数億以上の選択しがあり、組み合わせのため動作が似ている場合も多く、予備動作を見間違えると防御した場所とは違う場所に攻撃されてしまうのだ

このおかげで1つ目のデメリットはないと言っても過言ではない


(ここを攻めるのは違うなぁ)


残るデメリットは1つ


(でもこれを言うのは嫌だなぁ…)


ルーラーは彼女らしくない思考をしていた

それは同情…「継承スキル」持ちの女性の末路を想像したらせざるをえなかったのだ


(知らない人の子供産むなんて…最悪の末路だよねぇ)


処女受胎

これが「継承スキル」の2つ目のデメリット

女性ホルダーは30歳までに必ず子供を授かるのだ

それは行為を行わなくても必ず受精してしまうのだ

これは「継承スキル」の女性ホルダー全員に見られる事象であり、全員同じ遺伝子を引き継いでいることが分かっているのだ

何故か近しい遺伝子同士での受精でも子供には異常が見られず、それどころか強化され続けているのである

また、スキルを継承した後、元の持ち主は実質的な不老不死状態になるのだ

しかし、継承した女性ホルダーはほとんどがどこかにある彼女らの集まる村落に人知れず姿を消す


(まぁ…何らかの呪いみたいだよねぇ…)


処女受胎、不老不死、神隠し

これらが恩恵と言えるのは正気では無い者だけだろう


(はぁ…やるか)


「いつまで逃げてんのよっ!」


投げられたトランプがブーメランになり、ルーラーとチオリの首に迫る


()()()


ルーラーが告げる

それだけでエネルギーが無くなったかのように落ちるブーメラン


()()()()()()()()()()()


またルーラーが告げると地面に落ちていたブーメランは再び浮き、回り、動き、闇顰を追い始めた


「それが有名な因果律操作ってやつ!?」


闇顰は戻ってきたブーメランを綿にすることで無効化する


「そうだよ…君たちのように継承された強みはないけどね♪それに…」


その言葉を言う時、ルーラーの口角は蛇のように釣り上がる


「好きな人と結ばれる未来も紡げるからねぇ!決められている君たちと違って…ね」


その言葉に闇顰が立ち止まる


(今!)


その隙を見逃すはずがなく、チオリが鞭剣を使って斬り掛かる

鞭のようにしなる剣

その素材はダンジョンで発掘されたアルミよりも軽く靭やかな鉄「靱鉄」が使われており、従来の鞭剣のように刃をロープで繋ぐ必要もなく、脆弱性を克服した新世代の鞭剣である

それに加え剣の腹は最低限の耐久性を残して軽量化が加えられており、重量は脅威の1kgだ


「フッ!」


剣技の用いない、通常攻撃

しかし、その一撃は音速を超え首を狩ろうとする

かろうじて気づいた闇顰は空間を捻じ曲げる


「ちょおっ!?それズルでしょぉ!?」


「ちっ!!避けられた!」


驚愕の声をあげる2人

しかし、それを意に介さず、闇顰は俯いている


「あれ?意外に気にしてた感じ?」


「…決められただと?」


ようやく闇顰が声を出す

しかし、その声は沈み、先程までの余裕そうな雰囲気は無い


「まぁ、君がどれだけ彼のことを好きになっても結ばれるのは無理だし、私が絶対にさせないよ」


ルーラーは隙を逃さず、連続口撃を仕掛ける


(多分あと一歩だ…心を折るまで…)


「だったら…君もう諦めちゃなよ彼のこと」


(これでどうだ?折らなくても不調を引き起こす程度には効いてくれないかな…)


闇顰は何も言わない

少しした後、闇顰が少しずつ震え始める


「ふふ…」


聞こえてきたのは笑い声

肩を震わせ、自身の震える体を抱きながら笑う


「あっはははははははははははははは!」


「何が可笑しいの?」


「いやぁ…上辺だけの情報で情報戦に勝っていた気でいてさ…あまりにも滑稽だったから…さ」


意趣がえしのように同じイントネーションで話す闇顰

それを聞いたルーラーは顔を歪める


「そもそも…知らない奴の子なんか孕んだ瞬間に降ろせばいい…そうでしょう?」


狂気を宿した目で問いかけてくる闇顰

その言葉を聞き、ルーラーは手を握りしめ、チオリは引いた顔をする


「もし本当に望まない受胎だったら…今私はここにいない…この意味わかる?」


「君たちが熱心なキリスト教信者ってこと?」


「流石に違うでしょ…」


「はぁ…君たちは運命を信じるかい?」


油断はしていないが緩い雰囲気の2人に闇顰はため息をつき、違う話題で話しかける


「なに?答えも出さないで次の質問?まぁ、この前までは信じてなかったよ…でも…ま、まぁ今は信じて上げてるよ」


「へぇ…あんたと同じなんてムカつくなぁ…」


「聞いといて何よその言い草…」


「私達英雄の子孫の女の子はね…ある時期になると御伽噺を聞くの」


闇顰が話し始める

その顔は懐かしそうで、愛おしそうで


「その人が誰かも分からない…顔も、声も、性格も分からない」


「なのにね…愛おしいんだよ…私たちにお父さんは居ないんだ…男の子は後は継げてもその子供が「継承スキル」を持つことは絶対ないからね…」


「なのになんで今の代まで続いたと思う?」


「それはね…その何も分からない人がお父さんなの…お母さん達はそれが本当に嬉しいらしくて…」


「私もそれが待ち遠しいんだ…」


「でもね…この前、初めて違う人が好きになったの…」


「その人の顔が忘れられなくて…もっと見ていたくて…もっと触れたくて…もっと知りたくて…もっと感じたいんだ…」


「だから今私は燃えてるんだよ…この呪いを解く…そして彼…実君との子宝を授かるんだ…」


その瞳に宿るは狂気

狂気を孕んだ眼はもう2人を見ず

今中央に向かっている1人の男へと向かっていた


「だから…そのことを言われても精神的にダメージなんて通らないよ…」


「今私は1番やる気にあふれてるからね!」


「ッ!?リーシェ!」


話に聞き入っていたのが悪いのだろう

いつもなら反応できていた予備動作に反応出来ていなかった

そのまま超速の蹴りをくらい、首から嫌な音がする

駆け寄ってきたチオリも首があらぬ方向に曲がる

そこで意識が途切れた

読んで頂きありがとうございます

読んだ後に良かった点や気になる点を感想に書いたり、評価してくれると嬉しいです

では、また次のお話で!

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