119話~奇術~
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
ルーニャside
(ああもうッ!ちょこまかちょこまかと!)
ルーニャは今、不可視、かつ高速の敵への対処が出来ず、地団駄を踏むしか出来ていなかった
共に戦うセイラもむやみやたらに撃てず、今はミニガンをバットの様に振り回している
少しの魔力の揺らぎを感じる場所へ攻撃するが、出てくるのは藁人形であり、騙されているようだ
「ッ!?ルーニャ!実があっちにいる!」
向こうに向けて走っていく実に追いつこうと走り出すセイラ
その姿をみたルーニャは少し違和感を覚える
(あれ?なんで実がここにいるんだろ)
何か大きな間違いを犯している気がする
その何かが思いつかない
後もう少しで思いつきそうなのに思考にノイズが入る
「ルーニャ!早く行かないと実が逃げる!」
(気のせいね…早く追いかけないと)
「分かったわ!」
違和感は消え失せ、ルーニャは陣地から離れていった
___________________________________________
闇顰side
「うひょー…釣れた釣れた」
闇顰は今、最初に宣言した場所から一歩も動かずに、離れていくルーニャとセイラを眺めていた
「いや~かじりの能力は頼りになるねぇ」
賢腦院かじり
「賢の英雄」の子孫であり、持つ能力は「全知」
現時点でこの世に存在する全てを知ることが出来るオブラートに包まなければチート能力と言って差し支えない能力である
「ルーニャ・アンドロメダとセイラ・マスクは精神系能力への抵抗が極端に弱い…なんかそういう能力持ってる人いたら真っ先に餌食になりそうだな…」
闇顰は脳内で場面を想像し、身震いする
「まぁ…彼女たちは精神が弱いというよりは盲信気味なのかな…さっきまで使ってた洗脳が効かなかったのに、追っかける影を記憶をもとに作った彼にかえた瞬間に騙されたんだもん」
闇顰舞の能力「奇術」
彼女は「俊の英雄」の子孫とされているが、能力は全くの別物であった
「奇術」の能力
それは嘘による真実の塗り替え行う能力
自身のついた嘘によって現実を犯し、好きなように捻じ曲げるのだ
今、ルーニャとセイラにはいないはずの実が見え、闇顰が透明になっているのもこの能力の効果だ
「さ~て!このまま彼を探そうかな!」
伸びをし、鉄塔から降りる
そして走り出そうとしたとき、隕石が降る
「は?」
急な異常気象にぽかんとする闇顰
しかし1秒も満たずに「奇術」を発動し、隕石を消す
「ふ~ん…それはそういう能力なんだ」
隕石がなくなり、晴れた空の下を歩いてくるのはサイドテールの軽装を身にまとった女子
「ルーラー・リーシェ…「因律師」を知らない人なんてこの世にいないでしょ」
「いや?案外いるかもよ?」
「それは赤ちゃんくらいじゃない?
「ふふっ…赤ちゃんかぁ…今度赤ちゃんプレイしに行ってもいいかもな…えへへっ」
闇顰との問答の中でトリップするルーラー
その姿を見て怪訝な顔をする闇顰
そして今のうちに先手を打とうとナイフを構える
「何持ってるの?」
そのナイフは上からの強襲に弾かれる
そこにはルーラーを守るように立つチオリがいた
「ほら!しゃきっとして!」
「ああごめんごめん。想像したら幸せ過ぎてね」
「全くもう…」
戦場であるはずなのに日常を彷彿とさせる会話
闇顰も気を引き締め、ナイフを取り出す
「君…なるほどねぇ…存在してない…騙してるんだ…」
「ッ!?なんでそれを…」
「ま、いいや…お揃とかキモ…ほんとに無理…潰すか…」
ルーラーのまとう雰囲気が一変、どろりとした空気になる
「それにあんた…実貰うって言ってたよね…」
チオリの雰囲気も重く狂気的なものへ
「実…ふーん彼実って言うんだぁ…実…へへっ」
「ねぇチオリ…なんでなまえ教えてんの?」
「どうせバレんだし、今のうちに見せつけておかないと」
戦場とは思えない花のような笑みを浮かべる闇顰と互いに敵意をぶつけ合うルーラーとチオリ
「まぁ…ここで消せばいいよね~」
「彼は私のだからね…貴女には消えてもらう」
ルーラーとチオリは闇顰に目を向け、それぞれの武器や能力を使用できるようにする
「やっぱ恋路は茨道だね~…いいよ来なよ…死まで騙してあげるよ…」
もう拠点としては意味の無くなり、荒野と化した場所で、3人の重い女が争い始めた
読んで頂きありがとうございます
読んだ後に良かった点や気になる点を感想に書いたり、評価してくれると嬉しいです
では、また次のお話で!




