117話〜執念〜
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
実side
(何も考えられない…何も…分からない…)
ただ気持ちい
快楽の虜になる
実の思考はだんだん穐村に染められていた
(このままだと…行かなきゃいけないのに…)
[…失敗…!…メだ!…ろ!]
[声]も遠くに聞こえる
もう動けないかもしれない…
意識が遠のく…
(眠い…寝ていいのかな…)
実は瞼がだんだん落ちていき、堕ちそうになる
そして、穐村は最後の言葉を囁いた
「ンチュ…実くん…愛してる…好き…大好き…」
その言葉
愛を囁く言葉
普通なら更に深淵に堕とすための言葉
しかし、その言葉は実にとって地雷であるとは穐村は知らなかった
(好…き…?)
その言葉が頭に響き、熱に浮かされた思考を急激に冷やしていく
そして、脳裏にチラつく記憶
『好き…好き…好きだよ♡』
好きと言いながら殴打する彼女
『愛してる♡私のそばにいて♡』
そう言いながら内蔵を抉る彼女
『他の誰の愛の言葉は信じちゃダメ…』
数百人の彼女達に囲まれ、掴まれ、囁かれる
そのような時間を何十…何百日…
永遠と思えるような時間繰り返してきた
この記憶は実にはない
チラつくのは生存本能ゆえだろうか
防衛本能として忘却しているが生存本能は覚えている
その結果、脳への深刻なダメージを残した
【愛を受け入れるな】
それは人を惑わす毒だ
【好きに耳を傾けるな】
それは過去を忘れさせる
【誰も信じるな】
「愛するほど意地悪する」…発動条件解放
[っ!?…不明なスキルを確認…サーチ…安全性極低…しかし…打開率極高…ここで雌猫に盗られるくらいなら……スキルを発動…状態異常:魅了が解除されます。バフ:明鏡止水・残酷・不信を付与…]
[声]が響く
そして思考がクリアになり、感じていた躊躇も無くなった
そして、唇が離される
穐村の目には果てしない欲と念願のおもちゃを手に入れたかのような喜色を表していた
そのまま目を合わせる穐村
そして、顔が青くなり、微かに震えだす
「好き…だと…?」
そして実は声を発する
その声は低く、鋭かった
「ひっ…」
穐村は抱きついている手を離し、後ずさる
[聖遺物:⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を起動…]
実の前に黒い何かが溢れ、そこから銃口が出現する
「そ、それは…まさかっ!?」
穐村が何かを言う前に銃口から弾が放たれ、穐村の上半身が消える
【EEI4年穐村美姫…脱落】
EEI四天王と謳われる生徒の1人が今、闘技戦争から脱落した
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ルーニャside
【EEI4年穐村美姫…脱落】
戦闘を行っている最中、響くアナウンス
その名前は自身の秘書探索者を奪った忌まわしい名前
のちに聞いたが、穐村美姫はEEIの四天王と呼ばれる実力者の一角であり、そう簡単に退場しないであろうと思っていた
そして…少し前に響いた冠猋、玉藻交差、乾神姫の脱落
実力者がどんどん脱落していく
何かがおかしい
「…まぁ、今はそんなことよりどこかにいるお嬢さんよね」
ルーニャは思考を打ち切り、気配の消えた刺客へと意識を向けた
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???side
「あらら…今1年生の本陣が襲われてるんですね。まぁ、こっちには問題なさそうですし、放置でいいですかね」
ピンクの髪を持つ魔法少女風の服を着た星目の女子学生、魔見真美がステッキで手遊びをしながら映像精霊の映す映像を見て言う
EEI陣地、東部
主にEEI4年生が防衛する最強の拠点
その中でも一際広い部屋で、3人の女子学生が話していた
「いやいや!後輩は助けなきゃダメでしょ!」
そこに待ったをかけるのはアイドルのようなフリルのついたワンピースを着た黒髪の美少女、峰なぎさだった
「うん?また好感度稼ぎですか?自称アイドルも大変ですねぇ」
「アイドルには好感度は必須…じゃなくて!話をそらそうとしないで頂戴!?」
あーいえばこういう
この2人のやり取りは毎回行われている
白黒の髪にサイコロのような黒目を持つ、俗にいうバニーガールの恰好をしている3人のうちで最も背の高い女子学生がは嗤うように目を細める
「あら?梶野さん?何が面白いんでしょうか?」
「兎?何よそのにやついた顔は」
「フフフッ…いや…何も?」
2人から睨まれる梶野兎は愉しそうに嗤う
しかし、多くは語らずその場の傍観者に徹するようだ
「はぁ…まぁ良いでしょう。それよりもです。美姫ちゃんが退場しました」
「「!?」」
「記憶精霊を見たところ、恐らく彼でしょう」
「田中実…練馬ダンジョン踏破者…疑いのある男ねぇ…」
なぎさは机に置かれていた田中実の調査書を見ながら紅茶を飲む
兎も手に調査書を持ち、何を考えているか分からない顔をしている
「まぁ、美姫ちゃんのめり込むと一途ですからね…趣味とかに関しては収集癖強すぎるし、それが男に向けられたらどうなるのか…想像すると怖いですね…」
「多分今回は拗れたわね」
「美姫ちゃん…この前のパフェ買うときもラスト一個買うために街一個を能力で魅了しちゃったからね」
「あの娘…やっぱなんかネジはずれてんじゃないの?」
真美の語る穐村の行動にドン引きするなぎさ
「…今、誰か来たね…」
今まで黙っていた兎が声を発する
映像精霊が侵入者を映し出す
「あ、いましたね…さよなら~」
その言葉を聞いた真美がステッキを振る
それだけで侵入者が消える
そして退場のアナウンスが流れる
「これで終わりですね」
なんてこともないように言う真美
「で、どうするの?あの娘の仇取りに行くの?」
「死んだわけじゃないんですからしないですよ…まぁ、顔くらいは見に行きましょうかね」
3人は立ち上がり、部屋を後にする
3杯の紅茶は空き、1杯の紅茶は湯気を立てていた
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では、また次のお話で!




