116話~壊れた壊れた~
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
実side
「まずは…ルーニャ達を助けに行くか…」
森の中を進む
森の中にはお邪魔装置として魔物が放たれており、それらが襲い掛かってくる
しかし、ここを進むは史上初の100層ダンジョン踏破者…これくらいのお邪魔装置では足止めにも成らなかった
「邪魔だ」
首を切り、魔法で消し炭にし、顔に拳をめり込ませる
魔物はおもちゃの様に吹き飛び、動かなくなる
「はぁ…やっと出口か…」
木々が途切れ、空が広がる
森が終わり、舗装された道が広がる
そして…
「ああ…突破したんすか…穐村先輩」
道を塞ぐように仁王立ちしている穐村の姿が見えた
「実君…」
「戻らないですよ。もうそちらの敵は撃退しましたし、もう戻っていいはずです」
「黙れ。そんな命令をした覚えはないぞ。分かったら早く拠点に戻れ」
「ええ…だから拠点に戻ろうとしてるんですよ」
「はぁ…何を言っても聞かないのか…」
実の目を見、その後に空を仰ぐ
「君とはもっと仲を深めてから使つもりだったんだけどね…」
そういうと穐村は気配すら感じさせずいつの間にか至近距離へ
そのまま口付けた
「………」
(声も出せない…この人…何を…)
穐村美姫の特有技能「美姫の眼差し」
ユニークスキルとは違う枠組みの異能
それに追随する効果「美姫の口付け」
効果は至極単純、口付けするまでの行動が認識されないようになり、口付けした人間を自身の虜にしてしまうのだ
「好きだよ…ンチュ…ンハァ…実くん…」
足を絡められ、頭を掴まれ、唇から逃げれなくなる
そのまま愛の囁きを鼓膜に落とされる
実は目が虚ろになり、手から力が抜けていく
[クソっ…アフロディーテの寵愛……発動不可!?何が!!]
………………………………………………………………
穐村side
(やっぱり…ナニかが彼の中に巣食ってる…しかも相当根強く…)
気づいたのは顔合わせの時だった
いつもは使わない力…「美姫の眼差し」を使用した
それだけ私は彼を堕としたかったのだ
しかし、使用した瞬間に何かに睨まれ、体が萎縮するような感覚に陥った
そこには3人分の影が見えた
誰かは分からない
しかし、1人ははっきりと敵意を丸出しにしながら行動を起こしたのだ
(あれはなんだ…3人…何がいるんだ…)
何をされたかは理解できなかった
だが、理解不能な出来事がどうでもなるようなくらい、大切なことに思考が占拠されていた
(初めてだ…初めて…)
そう…初めてだったのだ…
彼を…私は…
(彼は…私が愛しても壊れない!)
今までこの力を使われてきた人達は愛に狂い、恋に焼き焦がされ、廃人になってしまっていた
しかし実くんは違った
最終的には誰かの介入によって弾かれたが、最初の数秒は間違いなく自身の精神力で抵抗していたのだ
恐らく少しの思考ができる位の抵抗をしていた
(なら…これならどうだ?)
本来なら人間には使ってはいけないとされる異能
神を籠絡する時に使おうと思っていた技だが、眼差しが効かない相手なら使わざるを得ないだろう
それに加え、軽いキスだけではなく舌も絡めるディープキス
(堕ちろ…堕ちろ…堕ちろ!)
実の目に光が無くなり、体が脱力し始める
(来た!ここで…)
「ンチュ…実くん…愛してる…好き…大好き…」
愛の言葉を囁く
これで堕とす
口角が上がる
頬は紅潮し、抱き締める力が強くなる
そして、唇を離し、顔を見る
「えっ…」
そこで言葉が出なくなった
覗き込んだ顔は先程までの熱に浮かされた顔では無かった
その顔は虚無…いや、敵意すら感じさせる真顔
「好き…だと…?」
読んで頂きありがとうございます
読んだ後に良かった点や気になる点を感想に書いたり、評価してくれると嬉しいです
では、また次のお話で!




