110話~英雄の子孫達~
こんばんは!
バラッパーです
今回も楽しんでいただければ幸いです
エーリside
数分前
「全員武器を持て!最初の戦だ!勝ち星を挙げるぞ!」
近距離部隊のリーダーに任命されたエーリは遠距離部隊の動きを察知し、部隊を編成する
エーリの後ろには本丸……闘技戦争で核となる「クリスタルコア」があった
「準備出来たか?タイチョウ様?」
横から茶化すように声をかけるのは銀色の髪にウェーブをかけ、少しピッチリしたスーツに身を包んでいる生徒
「ああ。貴様はどうなんだ?アーリア・ノルン」
「っは!!何生意気なこと言ってんだよ狂乱姫」
狂乱姫…エーリの人生でたった二度しかない暴走によってつけられたあだ名
世間一般では暴走の件は知られていないが、一度目の暴走の現場にいた探索者には知られていた
そして、アーリア・ノルンもそのうちの一人であった
「ふん…貴様と話していると淫気にあてられそうになる。早く持ち場に戻るんだな」
「はいはい分かりましたよ」
そのまま持ち場へと帰っていくアーリア
それを横目に見、いなくなったことを確認したエーリは後衛部隊である防護部隊に声をかける
「諸君!聞いてくれ!」
その声に守りを固める準備をしている防護部隊は作業の手を止める
そしてエーリは次の言葉を発する
「ここはクリスタルコアを守る最後の砦!ここを突破されてしまえば我々は敗ける!しかし!貴様らが命を賭し!死守すれば!私が必ず勝利を掴んでこよう!」
喝采が上がる
士気は絶好調
エーリも満足げに頷き、門の方へ歩き出そうとする
その時、背後で爆炎があがる
「キャーーーーーーーー!?」
「な、なに!?」
「敵襲!?」
急な爆炎に生徒内でパニックが広がる
「落ち着け!全員戦闘態勢!」
きっちりとした軍服に身を包む生徒が即座に号令を発する
その声はパニックの中でもよく響いた
「み、みんな!持ち場に戻ろう!」
「そうだ!ここで焦っても敵の思うつぼだ!」
そしてパニックが収まり、陣形が揃っていく
「お手柄だ小糸」
「い、いえ…このくらいしかできないので…そ、それに実さんは連れ去られてしまいましたし…あぁ…こんな私の使い道を見出してくれた実さん…なのに何も出来なかった…あぁこの世はなんて不条理なんだろ…無意味だ…なら…」ブツブツ…
「おい小糸また悪い癖が出ているぞ」
「ああ!?すみませんすみませんすみません…」ブツブツ…
「はぁ…」
(役に入り込んでたら頼りになるが…)
小糸まり
前日に行われた作戦会議で実が見つけ出した逸材の一人である
基本的におどおどしており内気、依存しやすい性格だが、彼女のユニークスキルと異能はこの集団戦では無類の強さを誇ると見いだされた
ユニークスキル「魔性の女」は言葉に乗せた願望を他人を操ることで実現させる能力
しかし命に関わる願望は今のレベルでは不可能なようだ
そして異能「0:愚者」は自身を騙し、性格をねじ曲げることが可能になる
パニックを収めた一声も自身を「指揮官」であると騙すことで大勢の前で声を上げられたのだ
(まぁ…下僕に依存気味なのは解せないけどね…)
「小糸」
「はっ、はい!」
「お前はそのまま指揮官として指示を出しといてくれ」
「…了解した」
その言葉を聞いた小糸はおどおどしていた先ほどから打って変わって眼は鋭くなり、口調も厳格なものへと変わっていた
そのまま部隊の方へと歩いていく
(よし…これで首尾は問題なさそうだ…なら次は…)
「本丸か…」
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アンドロメダside
「なっ…爆発!?」
「やはり仕掛けてきたね…」
「えぇ…例の作戦は?」
「問題ない。敗北宣言が出ていないだろう?」
「ええそうね。なら、ワタシ達は彼女らをお出迎えしなきゃ」
「き、貴様ら何を…それに彼女らとは一体…」
そこで一郎の言葉は途切れる
足元に手裏剣が刺さったからだ
「あぁ?なんであの屑がここにいんだ?」
現れたのは金棒を肩で担ぐ粗暴な口調の男
「力山!お前はいつも勝手に!」
「まぁまぁ、いつものことでしょう」
その後ろから現れるのは4人の男女
ハンサムイケメンにゆるふわな雰囲気な少女、恐らく足元に刺さった手裏剣を投げたであろう黒いフードの少女、そして何か上を向き、鼻を鳴らしている少女
「やぁ麗しき麗人たち!君たちには悪…「ちょっと舞!貴女何してるのよ!」…」
ハンサムイケメンが何かを言おうとするがその途中に黒い影が見張り台として作られた塔を駆け上っていく
(そうじゃん!私天才じゃん!彼もEEIの生徒なんだからここで聞けばいいじゃん!)
そのまま塔を駆け上がり、その言葉を口にした
「黒いコートをきてナイフ一本で戦う男子生徒知ってる人!」
その言葉はEEIの拠点に響く
「「「「「「「は?」」」」」」」
その声は彼女たちにも聞こえており、その声の響く方へと視線を向ける
そして、彼女…闇顰舞は禁句を放ってしまう
「その人!私がもらうね!」
「「「「「「あぁ?」」」」」」」
彼女たちからどす黒い何かが溢れ出た
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では、また次のお話で!




