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凡夫よ昏き道を往け 旧題[平凡な探索者によるダンジョン探索]  作者: バラッパー
第一章EEI編

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105/136

105話~正義のために~

こんばんは!

バラッパーです

今回も楽しんでいただければ幸いです

赤原side

数か月前


赤原は今、執行部部長として月に1回開かれる生徒総会に出席していた

今回の議題はついこの前免罪で投獄された田中実についてだった


「さて、まずはこの資料を見てほしい」


オクタヴィアス法理女学院生徒会長逢見加奈が話を進行していた

そしてみな手元にある資料を見て驚愕していた


「何よ…これ…」


みな驚愕のあまり声が出ていない中、副会長である空星野が声を上げた


「法術適正…SS…こんなの…ありえるの?」


そう…投獄される時に行われる適正検査

それの結果次第で掛けられる封印の数が変化するのだ

その検査ですべての適正がSSだということが判明したのだ

これはアウグストゥス法理女学院史上初の出来事であり、これは学院としても見逃せないのだ


「…彼は神に選ばれたということでしょうか……」


誰かがその言葉を言った瞬間、急激に生徒会室内の空気が変わる

それは鋭く、重く、とても攻撃的だった


「わたくし達以外の…しかも男が…ありえない…」


そう呟くのは法理神を信仰する部活、法理聖教部部長のメリア・ヴァン・プルーラー

この部活は自身たちに与えられている『法』や法術は神の授けし物として神を崇拝している部活なのだ

そのような奴らからしてみれば自身達を差し置いて適正SSなどというふざけた数値を出されれば嫉妬に狂うことなど想像に容易いだろう


「即刻そのものを死刑に…その臓物を食べればわたくしにも神の御加護が…」


なにか物騒なことを言いながらトリップしている気がするが放っておこう


「いえ…彼は私たちが調教し、かわいいかわいいお犬さんにしてあげます」


次に声を上げるのはお嬢様部部長白銀吹雪が発言する


「可愛らしいと思いませんか?ねぇ?」


恍惚とした表情で写真を撫でる白銀

この手の変態は放っておくに限る


「いえ…彼は守護騎士部で正しき騎士道を…」


「いえ!ここは聖医療部が!」


続いて守護騎士部部長(はがね)ミネと聖医療部部長聖桜も発言する

そのまま言い合いに発展する

互いに利害が一致しない限りこの言い合いは終わらないだろう

ついには拳を振り上げるところまで行きそうになったところで生徒会長が手を叩いた


パンッ!!


「……ここで話し合っても意味がない」


「まぁ、確かに…」


「そうですわね…」


各自席に戻り、不満げながらも言う言葉がないのか黙る部長たち

それを見た生徒会長は椅子に深く座り、口を開いた


「今回の事案は一筋縄では行かない…しかし、この時期には丁度いい行事があるじゃないか。そう…闘技祭とかね」


そう…オクタヴィアス法理女学院も毎年出席している闘技祭…生徒会長はそこで決着を決めようと言っているのだろう


「2日目…そこで彼を先に捕虜にした部活に彼に主導権を与えよう」


「「「!?」」」


「さぁ、話は終わりだ。もう競争は始まるっているからな?」


そういいながら生徒会長はドアから出て行った

_____________________________________________

現在


(今、こいつら(穐村班)に構っている暇はない…)


赤原は迫ってくる穐村や降矢を避けながら考える

そして他の生徒を相手する実に目をつける


(よし!この射線なら!)


「塚村!やれ!」


「はい!」


塚村恵亮(めぐる)…オクタヴィアス法理女学院でも珍しい完全攻撃特化型であり、また移動にも優れていた

その法術は速度・攻撃力強化

『法』は空間法

空間法によって空間を繋ぎ、満たし、抉る

法術によって強化された『法』は学内屈指のアタッカー性能を誇っていた

広範囲、高出力、高速、高火力

今の田中実に避けられる道理がなかった


(貴方も法術と『法』を覚えていれば避けられたでしょうね!)


空間が歪む

それは今まで何回も見た恵亮の『法』が発動した時に発生する現象

それは広がり、いつか田中実を飲み込む

…はずだった


「第百空間魔法:コーロス」


「は?」



実が何かを唱えたあと、空間は更に歪む

それは『法』が魔法に負けた瞬間だった

逆に恵亮が痛手を食らう


「ギャッ!?」



右手が捻じ切れる

咄嗟に横に避けたのが功を奏したのか、右手のみの負傷に留まる

しかし、千切られたのはただの学生

痛みに慣れている戦闘のエキスパートではない


「ッ!?アギャアアアアアアアアアアア!?」


血を撒き散らしながら転げ回る恵亮

腕をちぎられたのだから当然と言える


「貴様ら!良くも恵亮を!」


そこに火垂が突撃する


「これは祭と言っても実質的な殺し合いなんだ!それに退場すれば元通り!それに最初に仕掛けたのはその子だからね!逆恨みしないで欲しいよ!」


レイピアを使い、刀と鍔迫り合いを行う穐村


「確かにそうだろうな!だが!ダチを傷つけられてキレねぇやつは居ねぇだろ!おい!田中実!」


「…なんだ…」


「お前には償って貰う!大人しく負けろ!」


「残念だがそうは行かないんでね…償いとして勝たせてもらうよ…」


そのままナイフを持ち突撃する実

不意をつかれた火垂は体勢を崩される

そのまま腹に1回、両太ももを刺される


「クソ…」


「悪い」


倒れ伏す火垂

そのまま実は秋原への方向へと歩き出す


「俺は聖人でも英雄でも無いからな…勝ちのためなら女でも容赦はしない」


「それはそれは…俄然ヤル気になるじゃねぇかァ」


「落ち着け涙袋。まだこちらは4人だ戦力的には五分……いや…………」


「ん?」


秋原が黙る

その顔には笑みが浮かぶ


「私たちが優勢なようだ」


「法術…癒したまえ…」


その場に法陣が浮かぶ

法陣は秋原班の下に展開される

その上に倒れ伏す火垂や恵亮の傷が癒える

そして意識を取り戻し、立ち上がる


「まじかよ…」


実たちの顔は苦々しく


「クソ…」


火垂は顔を顰めながらも立ち上がる

そして刺された部位を触り、体の動作を確認する


「…………」


同様に立ち上がる恵亮

千切られた右腕は生えていた

目は実だけを捉えていた


「ねぇ?大丈夫恵亮?」


「…す」


「あ?」


「分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす分からす…」


「ヒイッ!?」


それは後ろにいた子が思わず悲鳴をあげる程に狂気的に溢れる呪いとも取れる光景だった


「絶対に分からせる…蹲らせて頭踏んで足舐めさせて逆らえなようにして…もう許さない絶対に分からせる覚悟しろ惨めな喘ぎ声出させてやる…」


その目は狂気、いや狂喜だろうか

言葉のトーンとは裏腹に目は喜びを訴えていた


「…さて…戦況は後戻り…いや、こちらが圧倒的に有利だね」


秋原が前に出て、穐村班に相対する


「さ…正義のために犠牲になってくれ」

読んで頂きありがとうございます

読んだ後に良かった点や気になる点を感想に書いたり、評価してくれると嬉しいです

では、また次のお話で!

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