演し物
アイリス様が攫われて救出へ向かい、無事にカルム国に戻ってきた日、エリオット様を含め、私達一行は『ヤドリギ』という宿屋に宿泊することになった。
フロントで手続きをしていると、フロント手前にある掲示板の前で、エリオット殿下が立ち止まって掲示板を眺めている姿が見えた。
「殿下、どうされたのです?」
「この街には、面白い演し物があるのだな。と思っていたところだ」
エリオット殿下が指差した先には、男女が2人が並んでいる絵が描かれたポスターが貼ってあった。タイトルには、『慰労祭』という文字が見える。
「この街に住んでいる者なら、誰でもエントリー出来るみたいだ。いろいろな演し物があるみたいだから、息抜きに見に行ってきたらどうだ?」
「いえ、私は……」
(アイリス様も無事に見つかったし、少し宿で休もうという話だったハズなのに……。どうされたのだ?)
「サラ、アイリスは私が見てるよ。君も疲れただろう? 息抜きに街で買い物でもしてきたらどうだ?」
フロントで鍵を受け取っていたサラは、急に話を振られて固まっていた。
「いえ、殿下。私は大丈夫です。殿下こそ、お休みになられては……」
「さて。私は、アイリスの寝顔を見ながら、休憩することにしよう。君たちは、休むように! これは命令だ」
「かしこまりました」
「承知いたしました」
(殿下。サラと二人きりになれるように、気をつかってくれたのだと思いますが、無理やり休憩とか……。逆効果だと思いますよ)
仕方なく、私は一人で街へ買い物に出掛けたのだった。




