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北塔

 あれから2日たったが、オーベル様やエリオット様から連絡はない‥‥‥。心配なのに、やることがなくて部屋の中を、何度もウロウロしてしまっていた。


「アイリス様‥‥‥。落ち着いてくださいませ」


「北塔に向かってから2日経つのよ? 何かあったに違いないわ」


 私は北塔の見える窓側にテーブルを置いてもらって、ずっと塔を眺めていた。午後になってから空が急に曇り始め、外では雨が降っている。


「アイリス様、窓から雨が吹き込んできます‥‥‥。一旦、閉めましょう」


「このままで、構わないわ」


「でも‥‥‥。このままでは、お風邪を引いてしまいます」


 サラと話していると、外で爆発音が聞こえた。びっくりして窓の外を見ると、北塔が崩壊しているのが見えた‥‥‥。かろうじて残っている部屋からは炎が噴き上がっているのが見える。


「エリオット様!!」


 何かを考える前に身体が動いていた‥‥‥。北塔へ向かって、全速力で走っていく。


「アイリス様!! お待ち下さい!!」


 サラの制止を振り切ると、中庭を突っ切って塔へ駆けていった。


 塔へ辿り着いて見上げると、以前と変わらずに北塔は、()()()()そこに建っていた‥‥‥しまったと思った時には遅かった。背後から忍び寄った影が、首元にナイフを突きつけていた。どうやら、幻影の魔術が使われていたようだ。


「お待ちしておりました、アイリス様」


 私は後ろを振り返らずに言った。


「貴方は‥‥‥。リーリャね。なぜこんなことを‥‥‥」


「‥‥‥アイリス様、私の本当の名前はアリエル・リチャードと申します」


「‥‥‥リチャード伯爵家の長女だったかしら? お会いしたことはないけれど」


「さすが、アイリス様。私のような者の事も、ご存じなのですね‥‥‥。申し訳ありませんが、私に御同行願います。大人しくしていていれば、危害を加えるつもりはありません‥‥‥。お願いします」


 そう言うと、アリエルは刃を私の首元に押し付けるように当てていた。声が震えているし、手も震えていた‥‥‥。これ以上、刺激するのは良くないと思った私は、優しく話しかけた。


「分かったわ‥‥‥。アリエル? 一緒に行くから、ナイフを下ろしてくれる?」


 彼女は、しばらくそのままの態勢でいたが、やがて溜め息をつくと、ナイフを下ろして私の両手に(かせ)()めた。


「これで魔術は使えないはずです。枷には、魔力無効が、かかってますから・・・」


「この枷‥‥‥。暗部にいたというのは本当だったのね」


 私は手枷の鎖に引っ張られ、北塔の中にある螺旋状の階段を上っていったのだった。




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